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「整理・整頓」にこだわる感覚が"要注意"なワケ ベストセラー作家の散らかり放題な仕事場

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  • 森 博嗣 小説家、工学博士
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だから、息子にはその失敗をさせないように、と大人のアドバイスをしたつもりだった。けれど、どうだろうか? そんな几帳面な作り方をして、面白いだろうか?と思い至ったのだ。

やり方を押しつけない

自分は無心に作っていた。周りのことが見えなくて、失敗を何度もした。でも、作っている最中は本当に楽しかった。だから、この歳になった今も工作をし続けているのだ。いちばん大事なことは、片づけて、部品をなくさないことではない。

このとき、自分が息子にした指導に僕は後悔した。反省もした。若者に、こういったアドバイスをすることは、彼らの楽しみを半減させる可能性がある。

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もちろん、ケガをしないようにとか、換気をするようにとか、そういった危険を避ける方法は指導しなければならないが、少々散らかることくらい、どうだっていいのではないか。もっと自由にさせてこそ、楽しみが味わえるはずだ、と思ったのだ。

こんなこともあって、それ以来、同じようなことは言わないようにした。また、子どもたちの部屋がいくら散らかっていても、文句を言わないことにした。これは、大学の研究室でも同じだ。学生、院生、あるいは後輩などにも口出しをしない。自分の部屋は、自分が片づけたいときに片づける。それで十分だろう。

確認のために書いておくが、整理・整頓をする行為を否定しているのではない。その反対である。その行為には意義が認められる。これは掃除も同じだ。きれいな環境を目指して作業をする行為自体が、癒やしになる。落ち着ける。

だが、その結果になにかを期待しないことが大事だと思う。整理され、きれいになった環境から、すばらしいものが生まれる保証はない。そういうことで、仕事が画期的にうまくいくことは、まずないということである。

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