グローバル人財の資質をはぐくむ教育 東洋大学

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フクシマ 実際に日本企業のCEOへのアンケート結果でも、後継者としてのグローバルCEOの要件で最も重視することに「高潔さと品位を持って行動する」を挙げた人は8割を超えています。グローバル人財に究極的に求められるものはインテグリティ(誠実さ)だと思います。相手からの信頼を得ることは、日本のグローバルビジネスの核になるかもしれません。グローバルな企業活動でのコミュニケーションでは、内にインテグリティや企業理念の面で絶対に妥協せず、外の様々な価値観に柔軟かつ、したたかに対応する「外柔内剛」が重要だと思っています。

竹村 そうした誠実さや、秩序正しく行動する、といった美徳は、日本文化の優れた側面と言えるでしょう。若い人は、日本の長所に自信を持ち、それを拠り所に日本発の新たなグローバルスタンダードを示すくらいの気概を持って欲しいですね。そのためには、海外に目を向けるだけでなく、日本文化を深く理解し、発信する能力も重要です。本学の用意する基盤教育の「国際人の形成」の科目群には、日本文学・文化関連の授業も多く盛り込んでいます。

フクシマ それもグローバル人財に不可欠なものですね。帰国子女や留学経験者ら、海外で過ごした経験を持つ人は、自分が何者であるかを説明することを求められます。私も米国にいた時にハーバード大学で日本語を教えた経験があるのですが、その時に、自分がいかに日本について知らないか、を思い知らされました。そうした経験が、真剣に日本を学ぶきっかけになるのです。海外に行くだけでなく、日本に留学してきた外国籍人財と接することでも、異なる価値観の人に自分の考えを説明し、相手の長所を取り入れ、自身の考え方を豊かにすることができるでしょう。日本人に欠けている説得力を培うには、英国で盛んなディベートが、論理を構築して相手に説明する良い訓練になり、日本の大学でも大いに期待しています。

竹村 2017年度には、国際学部と国際観光学部、情報連携学部を開設します。国際学部に新設されるグローバル・イノベーション学科は、海外からの留学生数の目標を定員の3割に定め、授業は原則英語で行い、日本人学生には長期留学を義務付けるなど高レベルの環境の中で、世界の問題に俯瞰的に迫り、社会システムや文化に至るまでのイノベーションを実現していく学びを提供します。同じ国際学部の国際地域学科は、国内外の地域開発を現場から立案します。国際観光学部は、即戦力となる実務能力を身に付ける観光産業分野と、観光政策を具現化する能力を身に付ける観光政策分野とに分け、情報連携学部は、技術、デザイン、マネジメント、インフラなどの各領域を志す者たちが連携しながらチームで学ぶ場を設ける計画です。なお、文学部には、新たに国際文化コミュニケーション学科を設置、異文化理解をふまえた国際交流に資する人財を育成します。

フクシマ 新設される学部・学科での学びは、かなり野心的な内容になりそうですね。グローバル化は様々な対立・紛争ももたらしており、俯瞰的な視点も重要になるでしょう。また、今のビジネスはIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)抜きには語れません。スピーディーに動かなければならない企業は、人財をゆっくり育てる余裕を失ってきているので、大学教育はますます重要です。

竹村 建学の精神の一つに「知徳兼全」があります。知性と徳性を十全に備えた人財を育てることは、長い目で見たときに企業にとっても有益でしょう。創造的で自主性に富んだ人財に育てたいと思います。

※2017年度開設予定(設置構想中)。学部・学科名は仮称であり、計画内容は変更になる可能性があります。