セミナーレポート

設計開発のグローバル化がもたらす
エンジニア競争時代

“ソフトウエア化”するモノづくり 日本のエンジニアはいかに付加価値を創出するのか?

【事例考察】Made in japan、設計開発業務
高付加価値追求の為の人材最適配置とグローバルソーシング推進

アクセンチュア
通信メディアハイテク本部
マネジング・ディレクター
田中陽一

アクセンチュア
製造・流通本部
シニア・マネジャー
丸川知考

 アクセンチュアの田中陽一氏は、国内医療機器メーカーのソフトウエア設計開発の改革事例を説明した。この会社は、ソフトウエアエンジニアの超多忙が常態化して、仕様落ち、予算超過、市場投入遅れの問題が顕在化。現場は、仕事のやり方を見直す必要を感じていたが、振り返る余裕もない状況だったという。田中氏らはまず、様式がバラバラだった設計開発ドキュメントのフォーマットをそろえるなど、要件定義プロセスを整備。「改革プロジェクトは通常業務に追加するのでなく、仕事の進め方についての着眼点を持ったハイパフォーマンス人材を現場に投入すべき」とし、通常の製品開発の進捗を止めずに改革も進めた。田中氏は「フォーマット整備など当たり前のことをやる“Do the Right Things”を、一般的なやり方とは少し異なるものの正しいやり方で行う“Do the Things Right”が重要」と語り、「この会社のマネジメント層からは『即効性があるやり方で、一過性ではない効果を得られた』と評価されています」と続けた。

 丸川知考氏は、実証、検証など下流工程に新興国のグローバルリソースを活用するための3つの「工業化」を解説した。第一に、立ち上げに時間がかかる問題については、業務を可視化し、現地の判断を減らし、作業の効率・自動化を図る「業務プロセスの工業化」を提案。第二に、品質・生産性の向上のため、知識を可視化・構造化して、適切な教育法に落とし込む「人材管理・育成プロセスの工業化」を提示。必要な知識の伝え方の例として、現地人材に仕様書の読み方を身に付けさせる場合、仕様書には書かれていないが、理解に必要な参照知識、追加情報をどう取得するか、も含めて教育のやり方を整理するよう求めた。第三に、想定した規模拡大ができない課題では、役割、管理指標、プロセスを決める「マネジメントプロセスの工業化」の重要性を強調。丸川氏は「日本人エンジニアの付加価値向上のためにも、グローバルリソース活用に向けた工業化は不可欠です」と訴えた。

【ディスカッション/Q&A】

 最後に、講演者が登壇し、会場からの質問に答えた。「社内ネットワークよりリスクのあるインターネットにつないで製造ラインをコントロールするメリットは?」という質問に、満岡氏は「インダストリー4.0が目指す、安くタイムリーなモノづくりは、取引先やユーザーなど社外とつながらなければ実現できません。そのための万全なセキュリティの構築が必要と考えています」と述べた。

 「グローバル化で、“すり合わせのモノづくり”はなくなるのか?」という問いには、相馬氏が「高付加価値のすり合わせ部分は残るでしょう。組み合わせにできる部分を見極め、そこを工業化してグローバルリソースを使うことで、日本は高付加価値部分にシフトすべきです」と答えた。

 「IoT活用で、どんなモノづくりに取り組んでいくことになるのか?」という質問に、田中氏は「航空機や船舶エンジンのセンサーから航行データを分析、燃費効率改善に貢献するなどIoTの成果は出つつあります。IoTの世界観でのビジネスモデルでは、“製品がいくつ売れるか”ではなく、“どれだけ顧客価値を増大できるか”、が問われます」と語った。

(左から)ボッシュの満岡隆一氏、アクセンチュアの相馬修吾氏、田中陽一氏、丸川知考氏

 

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