早期解散は、連立の相手である日本維新の会にもメリットをもたらす。
母体である地域政党・大阪維新の会は、大阪市を廃止して特別区を設置する「3度目の住民投票」を来年4月の統一地方選と同日に行うことを視野に入れている。選挙に乗じて住民投票を積極的に呼びかけることができるからだ。これに衆院選を重ねると、優位性はさらに高まる。
副首都構想関連法の付帯決議では住民投票と地方選の期間が「重複しないように最大限調整する」とされており、これを盾に野党は反発したが、維新は「法的拘束力はない」と突っぱねている。
一方、選挙が重なることを嫌う公明党にとっては大きな打撃になるはずだ。それでなくても、昨年の東京都議選では36年ぶりに落選者を出した。中でも、創価学会本部や公明党本部があり、非常に強固と思われた新宿区選挙区では、公明政治連盟として都議会に進出して以来、初めて議席を落とすなど、集票力の弱体化が目立つようになった。自公連立時代を懐かしむ声も出始めているが、野党へといったん舵を切った以上は簡単には変えられない。
「4月に衆院選を行えば、消費税減税も主張できる」と、早期解散総選挙に肯定的な意見もある。食料品の消費税率は来年4月から29年3月まで8%から1%に下げられる見通しだが、減税のメリットを主張できる期間は限定的とみられている。
10月27日の衆院財務金融委員会で、参考人として出席したスーパー「アキダイ」の秋葉弘道社長は「(食料品の)消費税が7%下がるという喜びは1カ月もたないと思う」と発言。むしろ2年後に税率を戻すことが国民の負担になることを主張した。
永田町を覆う「安定の中の流動化」
もっとも、衆院解散がささやかれるようになった何よりの原因は、国民民主党の与党への接近ぶりだ。
冒頭で触れた衆院議員の定数是正のみならず、今年の特別国会では旧宮家の男系男子を養子に迎える制度を盛り込んだ皇室典範改正に賛成。しかし、同党の玉木代表は19年に「女性天皇は過去に例があるので、もう1つの伝統かなと思う」と発言し、男系を維持しつつも、女性天皇の可能性を否定しなかった。
「対決より解決」をモットーとする国民民主党だが、これでは閣外協力と変わらないのではないかとの疑問がある。与党にとっては僅差で少数派になっている参議院で多数を得るために、国民民主党と連携する意味は大きい。
国民民主党にとっても、そのメリットは小さくない。村山富市政権のように、与党内の少数政党が首班を取った前例もあるからだ。
永田町は今、「安定の中の流動化」にあるといえるが、見えない流動化こそが事の本質といえるだろう。


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