今回の会見から一般化できる教訓もある。普段はカリスマ的な経営者の言葉が企業の魅力を高めていても、危機の際には、広報、法務、情報セキュリティーなどの専門家が発言内容を点検し、トップにも修正を求められる体制が必要だ。経営者のリーダーシップや個性が説明責任を妨げないようにするのである。
必要なのは「熱弁」ではなく「被害への対応」
今回の会見には大きな発信力、拡散力があったと言えるが、大きく拡散したのは本筋ではない話題、批判的な意見、冷笑的な声だった。
被害を受けた人が必要な情報を得られたか。関係者の疑問に答えたか。責任の所在と再発防止への道筋が伝わったか。評価の基準はあくまでそこに置くべきだが、今回の記者会見は、とうていその役割を果たしたとは言えない。
経営者が強い思いを持つことは、企業を成長させる原動力になる。一方、謝罪会見で優先されるべきなのは、「経営者が語りたいこと」ではなく、「関係者や一般の人々が知りたいこと」である。今回のGMOの会見では、優先順位が逆転し、せっかくの説明の機会が企業への不信を強めかねない結果となった。
今後、GMOに求められるのは、不正アクセスと情報流出による被害の範囲を迅速かつ的確に把握し、顧客、特に被害者と真摯に向き合い、ステークホルダーに対して説明責任を果たし、再発防止を実行することだ。今後、熊谷代表の去就が問われることになるだろうが、熊谷代表が主導して実現することができるのかがそのカギとなるだろう。


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