家庭問題で苦労した人は、家庭外の人間関係でも苦労することがしばしばあります。その問題を考えるうえで参考になるものの一つがバウンダリーで、これはシングルマザーに限らず、誰にとっても大事な概念です。
シングルマザーズシスターフッドの講座では、ノンバイオレント・コミュニケーション(非暴力コミュニケーション。アメリカの臨床心理学者マーシャル・B・ローゼンバーグ博士が提唱した、自分も相手も尊重するコミュニケーション手法)をベースとしながら、バウンダリーを含む、さまざまなコミュニケーションに関する講座を行っているそうです。
とはいえ、吉岡マコさんは次のようにも述べます。「お伝えしたいのは、暴力の責任は加害者にあり、被害者の話し方やコミュニケーション能力とは全く関係がないということです。お互いを大切にするコミュニケーションを学ぶことは、暴力をふるう相手との対話や関係修復を勧めることではないということは強調しておきたいと思います。危険が続いている場合には、安全の確保と専門の支援につながることを優先させてください」
つまり、コミュニケーションを見直す努力をするのは、安全な関係を築ける人に限定してほしいということ。DV問題においては、安全の確保や心身の健康、トラウマケアなどの土台が何よりも大事だと言います。
これからどう生きたいかを選んでいっていい
さらに吉岡マコさんはこう語ります。「お伝えしたいのは、傷つけられた経験によって、これからの人生のすべてが決まるわけではない、ということです。安心できる環境や人とのつながりの中で、自分の感覚や願いを少しずつ確かめながら、これからどう生きたいかを選んでいっていいということです。シングルマザーズシスターフッドは、その歩みを急がせず、支えられる場でありたいと思っています」
離婚後を支えるケアや支援にはさまざまなものがあります。今回の団体のセルフケア講座のように、無料だったりオンラインだったりといった参加しやすいものも多数あります。離婚によってできた傷は大きく、ケアには時間がかかるもの。さまざまなものを活用しながら、あせらずにゆっくりと進んだ先にこそ、離婚後の幸せがあると筆者は感じました。
ちなみに、ASD(自閉スペクトラム症)など、他の要因によってバウンダリーの問題を抱えるケースもあります。その点についても吉岡マコさんに質問すると、「ASDの専門家ではないので、私たちのプログラムがASDに効果があると明言はできません。ただ、ASDのある方への支援では、自分の感覚や体の状態に気づき理解すること、自分の希望や限界を相手に具体的に伝えること、相手のノーを尊重することなどが重視されています。支援の手法に共通点はあるということは言えると思います」とのことでした。


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