そんなしまだだーよさんに芸人を辞めない理由を尋ねた。
その答えは、賞レースで結果を残すことでも、売れていった仲間と対等になるためでもなかった。いかにも彼らしい素直な言葉が響いた。

「スベることもありますけど、ウケたときは楽しいですし、何よりもその後にみんなで安い酒を飲みに行くのが本当に楽しいんですよ。そのために“芸人を続けている”と言っても過言じゃない」
ライブが終わると、同じくらいの芸歴で仲のいい芸人たちと集まる。そこにいるのは、まだ売れていない芸人ばかりだ。
若手を大勢連れていくような飲み会にはあまり行かない。自分たちが1年目だった頃、断りづらい先輩の飲み会に連れていかれて楽しくなかった記憶があるからだ。たまに若手から「飲みに連れて行ってもらってもいいですか」と言われても、素直には喜べないし、対応に困る。
「『本当に僕らでいいの? もっとタメになる先輩がいるよ』と言って断ってしまいます……」
成功談を聞かせるほどの実績もなく、若手を笑わせる面白いエピソードも持っていない。だからこそ、同じようにくすぶっている仲間と飲むのだ。
「飲みに行くと、本当に時間の無駄だなっていうぐらいの話をずっとしています。ベロベロになって、何をしゃべったかも覚えていない。でも『いい酒だった、いい酒だった』って、みんなで帰るのが最高なんです」
当然、ネタについてストイックに語り合うことはない。大体は翌日には忘れてしまうようなとりとめのない話ばかりだ。
舞台に立たなければ、ネタ終わりに仲間と飲む時間も、バカ話で笑い合う時間もなくなる。彼にとって、ライブと飲み会は切り離せない一つの生活基盤になっているのだ。
6年ぶりの1回戦突破も「理由は分からない」
今年のM-1グランプリでは6年ぶりに1回戦を突破した。本人に劇的な手応えがあったわけではない。ただ、周囲から「今年は行けそうだ」と言われることが増えたという。
「自分たちが特別に面白くなったという感覚はない……。理由は分かりません。しいていえば、6年前に1回戦を突破したスタイルに近づけたことがよかったのかな」
もちろん目標はM-1で勝ち上がることだったが、2回戦で惜しくも敗退。しかし、期待していなかった分ショックは少ない。
「M-1よりは『おもしろ荘』に出ることが目標。今から売れるチャンスはそこぐらいかなと」
ネタの面白さやテクニックではないところを評価してもらえる、年末恒例の若手芸人発掘企画に望みをかけている。
しまだだーよさんは今日も相方と舞台へ上がる。いつか売れる日を待ちながら、今夜もまた売れない仲間たちと大酒を飲んで笑うために――。


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