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フランスで55万人超による相次ぐ抗議デモが暴徒化、略奪・放火から見えるマクロン政権のエリート主義と移民政策の限界

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2026年10月17日、パリのデモや暴動が止まらず、市民生活にも深刻な影響を与えている(写真:2026 Bloomberg Finance LP)
  • 安部 雅延 国際ジャーナリスト(フランス在住)
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フランスでは、大革命から100年を経た1905年に公的な場に宗教を持ち込むことを禁じる政教分離の「ライシテ」が制定され、今日も続いている。そのため、各宗教団体は公立校や役所で信仰のしるしを身に着けることが禁じられている。

革命前にバチカンを背景にしたカトリック教会が政治影響力を与えた過去があり、近年ではサルコジ政権時代に公立学校でのイスラム教女性のスカーフ着用が禁止された。

一方、在仏イスラム教徒(大半はアラブ系)は穏健派だが、子どもがスカーフを着用して学校に登校できないことに対する不満を抱えている。最近ではイスラム教徒女性が着用する「アバヤ」も公立学校で全面的に禁止された。これには在仏イスラム評議会は、「単なる伝統的ファッションだ」と反発している。

実際には、公園や公道でイスラムのブルカやニカブを着用するイスラム女性は増えており、警察も積極的取り締まりを行っていない。また、スカーフ着用を拒否した校長への殺害予告も起きている。

「共和国理念、移民同化政策はナンセンス」

ところが「テロの温床」ともいわれるイスラム聖戦主義に傾倒するアラブ系移民の若者たちは、フランスの伝統的価値観を重視する文化はイスラム教徒にはなじまないとして分離主義を唱えている。彼らは政府が推進してきた社会統合や共和国理念の受け入れといった移民同化政策に抵抗しており、フランスへの同化はナンセンスだと主張している。

人権重視の左派、とりわけ急進左派政党「不服従のフランス」(LFI)は移民排斥に反対しており、今回の抗議デモでも理解者となっている。そのため、政府や右派勢力は「LFIがデモをあおっている」と批判している。フランスでは経済的格差に加え、移民差別も解決策のないままに時間だけが経っている状況だ。

しかし、実際にアラブ系移民家族を取材している筆者は、穏健派イスラム教徒でもイスラム教が重視する服装を否定する同化政策を受け入れている人は少ないと感じている。

彼らは信仰の違いをリスペクトすることを求めているが、フランス側はカトリックの価値観から遠ざかっており宗教そのものへの意識が薄く、イスラム教徒の信仰や生活文化を尊重する考えはほとんど理解されていない。

右派の重鎮の1人、元欧州議会議員のフィリップ・ド・ヴィリエ氏は「新しいフランスと古いフランスの間で繰り広げられる内戦前夜のような様相を呈し、反警察、反フランス感情で結び付いたデモ参加者が一連のおぞましい出来事を引き起こしている」と指摘している。

店に暴徒が乱入してすべてを破壊され、略奪被害を受けたパリの服飾店の女主人は「このデモで私は人生で積み上げてきた物をすべて失った」と涙ながらに訴えた。パリを訪れる外国人旅行者も減少し、国外に逃げているとの指摘もある。略奪に直面し、パリの銃砲店には客が押し寄せているという。

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