トマスのほかに、ナイチンゲールのお気に入りだったのが、大きなペルシャ猫「ミスター・ビスマルク」です。毎日午後5時のティータイムになると、中国製の陶器を食器にして、ミルク粥を食べるのを日課にしていたとか。
食の大切さを日々訴えて、病院食も徹底的に改善したナイチンゲール。愛猫の食のこだわりにも、寄り添えたことでしょう。
そんな猫たちとの日々からナイチンゲールは、「動物には人間の気持ちを読み取る力がある」と感じていたようです。こんな言葉を残しています。
「ものいわぬ動物たちは、人間よりもはるかに繊細に人を観察していて、人間が考えるより、はるかに深く人間の心を読み取っています」
動物との交流が患者の気持ちを静めてくれるはず、と患者の療養環境に小動物を取り入れることを提唱。現代のアニマルセラピーをいち早く看護に導入しました。
猫に挨拶したのにスルーされる
第二次世界大戦時のイギリス首相のウィンストン・チャーチルもまた猫好きでした。
戦時中に特にかわいがったのが、海軍本部に棲みついていた灰色の大きなオス猫のネルソンです。名の由来について、ある夕食の席でこう話しました。
「ネルソンは私が知る中で最も勇敢な猫だね。海軍本部で大きな犬を追い払うのを見て、偉大な提督にちなんで名づけることにしたんだ」
しかし、さすがに空襲が来たときは怖かったようで、ネルソンは物置の下に隠れてしまいました。すると、チャーチルはこう言いました。
「出てこい、ネルソン! あの名を持ちながら、敵が頭上にいるのに隠れるとは恥ずかしくないのか! 」
一方的に名づけられて、そんなことを言われても……。チャーチルはよほど彼の勇敢さを買っていたのか、首相就任時には官邸にも同行させたとか。
そうかと思えば、猫に本気で謝ったことも。ある朝、廊下で出くわした猫にチャーチルが「おはよう、猫よ」と話しかけたのに、猫はスルー。ムッとしたチャーチルの払った手が体にあたってしまうと、猫は逃げてしまったそうです。
心配したチャーチルは窓に1枚の紙を貼りだしました。「猫へ。帰ってきてくれ。すべて許す」。土下座しそうな勢いのチャーチル。猫が無事に戻ると、新鮮なサーモンとクリームでもてなしました。


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