現代社会は一発勝負で結果を求められ、失敗したらなかなか再チャレンジできない構造となっているが、それは映画業界でもそういう流れはあるだろう。だがここではワークショップや対話を通じて自分を見つめ直し、人前で演じる自信やコミュニケーション能力を得られるようプログラムされている。「世の中にいちばん必要なのはチャレンジできる場や数、打席数だと思うんです」と伊藤プロデューサーは力説する。
俳優に大切な要素を次々と追求
ただ台本に書いてあるセリフを覚えて言う、というだけではない。いかにして与えられた役を解釈するのか、それをいかにして表現するのか。
番組では、テンポ、息づかい、声の大きさ、イントネーション、そしてカメラの前に立つための精神状態、臨機応変な対応力など、俳優に大切な要素を次々と追求し、その神髄をカメラの前で明らかにしていく。その過程を見ていると「俳優はここまで考えているのか」といった驚きもある。映画の見方も変わってくるかもしれない。
まさにオーディションという体験自体が、参加者のその後の人生や、再挑戦を支える大きな糧となりそうだ。だがそれは参加者にとってのチャレンジであると同時に、プロデュースサイドにとっても大きなチャレンジとなる。
「脚本がない、ロケハンもしていない状況でオーディションをするなんて。こんな映画づくりをしたことないし、僕自身もプレッシャー。しかも応募してくださった1万4000人の思いも込められている映画なので、下手なものをつくれない」と伊藤プロデューサーは気を引き締める。


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