夏油温泉観光ホテルのように様々な理由で存続を断念する旅館は少なくない。厚生労働省の衛生行政報告例によると、旅館営業の施設数は2009年度の4万8966軒から、2017年度には3万8622軒へと、8年で2割あまり減った。翌年の旅館業法の改正により、それ以降の比較可能なデータがないが、シティホテルやリゾートホテルと比較して稼働率が低い状況が状態化している。
経済産業省調査統計グループ経済解析室が同省サイト内に掲載しているコラムでは「(産業ごとの景況感を表す第3次産業活動指数は )コロナ禍以前の2019年までをみても旅館は低下傾向、ホテルは上昇傾向と明暗を分けていましたが、2023年5月以降のアフターコロナの時期からさらに大きな差を見せています。ホテルは、コロナ禍の直前にあたる2020年1月のピークを2023年5月以降継続して上回っていますが、旅館は、2020年1月の水準には回復していません」とコロナ禍収束後もいわゆる旅館が苦境に陥っていることを指摘している。
また、帝国データバンクのまとめによると、2025年に発生した「宿泊業」の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は89件に上り、前年(2024年)の78件を11件(14.1%)上回り、2年連続で増加している。 休廃業も2021年以降、毎年180件前後で推移している。
誰にも気づかれないままひっそりと廃業していくことも
旅館の経営が難しい理由は、夏油温泉観光ホテルが直面してきたものと重なる。戦後の高度経済成長期に建設された建物が古くなり、維持・管理には費用が嵩んでいることに加えて、担い手は高齢になり、後継者も働き手も見つからない。「減価償却が終わり借り入れがなくなった宿は金融機関との接点がなくなり、誰にも気づかれないままひっそりと廃業していくことが多いようです」と木村さんは指摘する。
「東京で私たちの事業承継の話をすると、『温泉宿をやってみたい』『温泉の事業承継に興味がある』と言うビジネスパーソンは意外にたくさんいます。しかし、跡継ぎを探している経営者と出会える機会は滅多にないし、マッチングしても乗り越えるハードルはたくさんあります」と木村さんは言う。


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