<総合的なコスパ・タイパの悪さから、育成キャンセルをした事例>
続いては、ITエンジニア職に就く30代半ばの優秀な男性社員の事例。ただ、育成キャンセルというより、「管理職キャンセル」の事例となる。
模範的なスキルを持つ彼に対し、会社側は「課長」への昇格を打診。しかし、「管理職になるメリットが感じられない」と彼は断った。彼の言い分は、こうだ。
「私は、AIを駆使して業務を効率的に回しています。現状のままで十分に業績を上げ、収入増も実現できるなか、あえて負担のかかる人材育成をするメリットがありません」
部下を育成するには相応の時間と労力がかかり、ハラスメントのリスクも増える。昇格は、その負担以上のメリットがないと彼は判断したのだ。
「育成キャンセル」が起こる2つの根本原因
事例からもわかるように、育成キャンセルの主な理由は「コスパ・タイパの悪さ」や「ハラスメントリスク」で、これは調査結果でも表れている。その背景には、日本企業が抱える2つの根本課題があるという。1つ目は、「人材育成が評価されづらい」ことだ。
「日本企業では、短期では成果が見えにくい『人材育成』よりも、短期的な『業績』が重視される傾向があります。消費者は『タイパ・コスパ』をより一層求めるようになり、企業はそのニーズに応えなければなりません。その結果、『業績を上げることにリソースを割かなければならず、育成の優先順位が下がっている』というのが管理職の実情だと考えます」


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