「後輩育成キャンセル」の理由で1位となったのは、「何度指導しても改善が見られず、指導の効果が見込めなかった」(55.4%)。次いで「指導するとハラスメントと受け取られるリスクが高いと感じた」(34.0%)が続く。

「特に、最近よく聞かれるのが『ハラスメントリスク』ですね。ハラスメントについては厚生労働省が公的な基準を示していますが、実際の職場では『言ったもん勝ち』といったところがあります。また、そもそもの人間関係によっても状況が変わるので、客観的な基準だけでは機能しない難しさがあるのです」
実際にあった「育成キャンセル」の事例を聞いてみると、「令和ならではの課題」が浮き彫りとなった。
「コスパもタイパも悪い」 育成キャンセルの事例
<ハラスメントリスクを懸念して、育成キャンセルをした事例>
まずは、BtoB企業の営業部門で約10人のチームを管理する30代の男性リーダーの事例だ。彼は、以前にチームメンバーの女性からハラスメントを指摘されたことがあった。その際は、人事部による実態調査を通じて「リーダーの行動に問題はなかった」と結論付けられ、女性部下も納得した。
しかし、その後、新卒の女性社員が配属されるとリーダーは萎縮してしまい、彼女との接触を避けるようになった。
彼女から質問されても「自分で考えてやっていいよ」。資料の確認を頼まれても「見ておくよ」と答えたまま、うやむやに。彼女がリーダーと2人きりになったタイミングで指導について切り出しても、早々に話を切り上げる始末。
結果として、彼女は入社から1年半後に退職した。具体的な指導を一度も受けられず、成長の実感を得られなかったことが理由だった。


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