現行車両は50年以上前に製造され老朽化が著しい。狭い車内は多くの乗客ですし詰め。エアコンがなく夏は蒸し風呂のような暑さだ。そこに登場したのが新型車両である。シーメンスが開発し、同社の都市鉄道・地下鉄向け車両シリーズ「Inspiro(インスピロ)」をロンドン地下鉄向けに再設計した。
シーメンスの鉄道事業を担うシーメンスモビリティのアグラーヤ・シュナイダー英国・アイルランド法人共同CEOが車両の特徴を説明した。車両の使用材料を減らし、車両間を通り抜け(ウォークスルー)構造にすることで車内空間を広げ、乗車人員を1割増やした。ドア付近の天井高を上げて、身長178cmの人でもドア付近で垂直に立てるという。エアコンも設置された。天井付近にスペースがないため、座席の下に取り付けた。
鉄道の課題解決は「デジタルの世界に存在」
しかし、この車両の最大の「賢さ」は、デジタルの活用にあるという。「各車両の位置情報、エアコン、ドア、駆動装置など主要部品のリアルタイムの稼働データを常時送信し、AI解析モデルがわずかな電流の異常から将来の故障を事前に予測し、自動で車両基地にレポートする。これにより突発故障を防ぎ、より多くの車両が営業運転に投入されることで効率性も高まるのです」。
今回のイノトランスで、各社が競ってアピールしているのがAIの活用である。その展示内容で突出していたのがシーメンスと日立製作所。お互いに、鉄道分野におけるAIによる業務の効率化で競い合う。

