合格できた理由を一言でいうと何か。そう尋ねると、小鹿野さんは迷わず答えた。
「執念ですね。現役で受からなきゃいけない理由があった。一番大きかったのは家庭環境です。あとは、先生や友達の期待に応えなきゃいけない。一緒に頑張った友達のためにも」
入学してからも壁はあった。体育会系の部活に入ったが、金銭面で続けるのが難しく、1年の夏にやめた。
東大生の親は平均年収が高い。だから、こうした苦労を知っている人はまずいない。遊びに行っても金銭感覚が合わない。何をするにもお金がかかるのに、ずっと勉強しかしてこなかったので稼ぐ力もない。東大に入ってからも困難ばかりだったという。今は塾講師や家庭教師、飲食店のスタッフなど、いくつものアルバイトを掛け持ちしている。
東大生であることのメリットは、信頼されること。そして、周りが頑張っていること。「人の努力を否定する人を、東大で見たことがありません」。デメリットは、良くも悪くも期待されること。飲食店のアルバイトで「東大生なのに仕事できない」と言われたときは、少し傷ついた。
それでも、東大に入って良かったと思っている。「最初は自分よりすごい人が多すぎて、来る場所を間違えたと思いました。でも、その人たちに引っ張ってもらって、努力し続けられた」。
将来の目標は「学校をつくること」
将来の目標は、受験生のころから変わっていない。
「学校を作りたいです。自分の選択に後悔しない、そういうことで迷わない子たちが集まれるような学校。『将来こういうことをしたいから、今これをやる』と自分で決めて、言語化できる子どもたちをサポートしたい」


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