「絶対に受かってやろう」と決めた小鹿野さんは、苦手な科目をつぶしにかかる。
「それまで受けてきた東大形式の模試では、国語は偏差値29.4、英語は30点くらいしか取れなかったんです」
合格するには、ここを伸ばすしかない。9月から10月までの2か月間、国語と英語だけを1日8〜10時間勉強し、得意な数学には一切手をつけなかった。
その結果、国語も英語も半分ほどは取れるようになった。
模試で崩れそうになったとき支えになったのは、得意科目だった。「国語の偏差値が29でも、数学の偏差値は75ある。『俺にはこれがある』と思えた」。秋にはA判定も出て、現実的なラインに来ていると実感した。
高かった“地方の壁”
ただし、地方の壁は高かった。物理で微積分の考え方を使えることは、大学に入ってから知った。数学の順像法・逆像法も、高3の終わりごろまで知らなかった。東京にあるような東大専門塾なら高1、高2で習う内容らしい。参考書はYouTubeで調べればわかるが、細かい解き方を教えてくれる人は周りにいなかった。
私立大学には行けない。塾にも通えない。親に参考書を買ってほしいと頼むのも気が引けた。頼りは担任の先生と、YouTubeの勉強動画。勉強の計画は誰にも教わっていない。
代わりに徹底したのが、時間を固定することだった。寝る前には英単語を100個。帰宅したらすぐに数学の演習。自転車で帰る間に、家に着いてから何をやるかを決めておく。「この時間にはこれをやる」と決めておけば、まったく勉強しない日がなくなる。お金や環境に関係なく、誰でもまねできる方法だという。
勉強する場所はずっと家だった。勉強部屋と遊ぶ部屋を分け、勉強部屋にはスマホを持ち込まない。遊ぶのはリビングで、そこには親の目がある。直前期は生活リズムを固定した。親に「この時間にご飯を出してほしい」と頼み、風呂の時間も決めた。勉強以外のことを何も考えなくていい状態を作ったのだ。


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