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ライフ #神童だったあの子の今

「将棋で全国ベスト16」「数学偏差値81」虐待されていた"ギフテッド"…父親に翻弄され続けた壮絶な子供時代

15分で読める
小鹿野さん
(写真:小鹿野さん提供)
  • 新倉 和花 東京大学法学部卒・麻雀プロ
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ちょうどそのころ、コロナによる3カ月の休校が始まる。最初の1カ月は、めちゃくちゃ遊んだそうだ。YouTubeを見て、ゲームをして。けれど、好きな人の動画を全部見終わると、やることがなくなった。尊敬する先生が担任になったのだからと、数学を少し頑張ってみる。その2カ月が、人生の分かれ目になった。

休校明けの7月に受けた進研模試で、数学は95点、偏差値81。その後の二者面談で、担任の先生はこう言った。

「お前、東大行けるよ」

「『自分は東大を目指していいんだ』と初めて思えたんです。そんなに偏差値の高い学校じゃないし、成績もダントツというわけでもない。でも、目指していいんだ、と」

それ以上に大きかったのは、将棋で心に残った棘だった。

「将棋では一番になれなかった。だったら、勉強では絶対に一番になってやろう、と思ったんです」

高2の冬には「数学を極めたい」「教育格差をなくしたい」という気持ちも生まれ、本格的に東大を意識し始める。高2の1月、国数英の偏差値が75.5まで上がった。部活は運動部と文化部を掛け持ちしていた。運動部は週6、7日活動していたが、勉強と両立しながら続けた。

「東大を目指す」宣言も、周囲の反応は様々

東大を目指した理由ははっきりしている。ひとつは数学の道を極めること。もうひとつは教育格差をなくすこと。どちらにするか決めきれず、両方を同時に追うのは難しいとも思っていた。

東大なら進学選択(進振り)があるので、入ってからゆっくり決められる。学校を作りたいという夢もあり、レベルの高い場所に行けば協力してくれる人に出会えるはずだと考えた。理科二類を選んだのは「一番入りやすかったから」というのが本音。理二なら理三の学生と同じクラスで学べることも魅力だった。

親は本気にしていなかった。両親とも大学受験を経験していないので、東大がどれほど難しいのかもわからない。「ちょっと厳しいんじゃない」と言われ続けたが、反対されたわけではなく、基本は放任だった。今でも「東大に受かったのが信じられない」と言われるという。

担任の先生は、ずっと応援してくれた。ほかの先生も8割ほどは応援してくれて、質問にも積極的に答えてくれた。ただ、古文が致命的に苦手だったため、古文の先生からは「ちょっと無理なんじゃない?」と言われたこともある。

友達は3種類いた。バカにしてくる人、「一緒に頑張ろうぜ」と言ってくれる人、無関心な人。バカにしてくる相手はそもそもいい大学を目指していなかったので、気にならなかった。「正直、将棋のときに比べたら全然つらくなかった。打たれ強さだけはあったので」。

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