――林さんは28歳で作家デビュー、31歳で直木賞を受賞する一方、私生活では36歳で結婚し、44歳で出産されています。最新エッセイでは「『女性のフルコースをひととおり味わってみたい』というのが、かねてよりの私の希望であった」と書かれています。
林 実は、その言い方も古いなと思っていて。40年ほど前は「結婚したほうがいい」といわれていた時代でしたが、その後、「結婚はしなくていい」というブームがあって。また一回りして、今は植草さんの相談所にたくさんの人が押しかけているでしょう。
その一方で、今は2割近くの人が「一生結婚するつもりはない」という話を新聞で読みました。
芸能人ではなく会社員を選んだ理由
植草 「フルコース」の意味が人によって変わる時代になっていますね。真理子さんが結婚されたときは、今よりも結婚が「当たり前」の時代でしたけど、それでも「真理子さん、結婚するんだ!」と驚きました。
林 当時は、私のように自分から「結婚したい」とはっきり言う女性文化人はほとんどいなかったと思いますよ。
植草 しかも、お相手は一流企業の会社員。芸能人や経営者といった華やかな世界の男性がお好みなのかと思っていました。
林 そんなことないですよ。そもそも芸能人が相手にしてくれるわけがないですし、経営者といっても、今でこそIT系の若くてかっこいい社長がたくさんいますが、当時は年配の方ばかりでしたから。
私は、お相手には真面目なサラリーマンで、できたら見た目のいい人がいいとずっと思っていたので、母の親友に紹介してもらったんです。お金はそんなになくてもいい。自分で稼いで、欲しいものは自分で買えますから。


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