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ライフ #ヤングケアラーの僕が東大に合格するまで

東大には「縦の多様性」が存在しない 体験格差という壁 ブレイディみかこ×元ヤングケアラー東大生・清野孝弥対談(前編)

10分で読める
ブレイディみかこ 清野孝弥生
教育格差や、大学進学後にも残る「見えない階級」の壁とは?(写真:ブレイディ氏はShu Tomioka撮影、清野氏は本人提供)
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清野:「クラス・シーリング」の話がありましたが、日本ではクラス(階級)自体がグラス(透明)のような見えづらい側面を持っていると思います。昔のイギリスのようにわかりやすい階級社会なら問題視しやすいですが、現在の日本の大学や社会はそこまで明確にクラス性が見えないため、問題意識を持ちにくく、実際には格差があるのに問題提起しづらい現状があると思います。

何か一つでも「がんばれること」を持ってほしい

清野:今回この本を書くにあたり、一番懸念したのは、私が東大に合格したという事実が、他の貧困家庭やヤングケアラーの人たちへの「お前は努力不足だ」という自己責任論に使われないかということでした。だから、帯にも「美談ではありません」という言葉を入れました。

しかし、今つらい環境にいる子どもたちは、「そういう人が一人でもいる」というサンプルを知らなければ、「自分も頑張ってみよう」という思いすら持てないのではないかと考えました。だからこそ、経済力や社会での発言力がある大人たちに行動を取ってほしいという思いで発信しています。

ブレイディ:貧困家庭に生まれ育つと、「自分はそういうことができる立場じゃない」と身を引いてしまう部分がどうしてもありますよね。実は私も貧しい家庭で育ったので、よくわかります。だからこそ、大切な場面で背中を押してくれる大人がいることの重要性が、この本からは伝わってきます。

『ヤングケアラーの僕が東大に合格するまで』というタイトルだけを見ると、「東大に受かることがゴール」と誤解されやすいかもしれません。私の中にも、「果たして大変な環境にいる子どもたちにとっての希望が、東大でいいのか」という疑問があったため、実はこの対談も一度辞退させていただきました。

でも、中身を読めば、大人こそこれを読んで考えるべきことがあるとわかってくる。貧困やヤングケアラーの問題について、現行のシステムや社会制度を批判していればいいのではなく、自分自身の周りにいる子どもたちに自分がどう接するかを考えてゆくべきだと感じました。

(後編につづく)

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