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朝ドラ《ブラッサム》のモデル 恋多き作家・宇野千代が語る"青春" 初任給8円に母は涙…なのに男性教師に惚れてクビ

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『宇野千代 ちょっと自伝』より
作家・宇野千代の「働くこと」への強い思いを、本人の言葉からたどる(写真:『宇野千代 ちょっと自伝』より)
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《私はもうぼうっとしてしまいました。もうこれで、たったこれだけのことで、私はもう女優さんになってしまったんでしょうか。》

と書いてありますが――結局ね、六、七人の女の子が駆り集められて、一人だけ本物の女優が来て、『杜(もり)のお姫さま』という写真を撮るの。野外劇と言って、お伽噺(とぎばなし)の場面を子供雑誌の口絵にのせるためなんですよ。

わたしたちは家来の蝶々の役

本物の女優が、梅村蓉子。この人は大変な人気女優だった。綺麗な洋服を着た梅村蓉子がお姫様役、わたしたちは家来の蝶々の役なの。

蚊張(かや)みたいな、薄く透ける白いスカートなのよ、家来の衣裳は。

《私は、昔の田舎の娘である私は、西洋風のズロースなぞ、夢にも知りませんし、ましてそんなものを穿いたりしてはいないのです。(中略)私はお腰を巻いたままのその上から、薄い蝶々の衣裳を被りました。(中略)
好いお天気で、陽が一ぱい、原っぱの草の中まで射しています。私はみんなの後の方に小さくなっていました。草の中にしゃがんでいると、まあ、蟻(あり)がチクリと私のお尻を刺しました。》

このチクリ、が可笑(おか)しいでしょう。

その日は八十銭を貰って帰ってきたけど、次の日曜日にはもう行かずじまい。だから女優にはなり損っちゃいました。

わたしが女優になっていたら、さぁ、どうだったでしょうねぇ。偉い人になれたかしら。

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