キャストの芝居で引き込まれたのは『さよならノワール』(フジテレビ系)。犯罪被害者支援室所属の元刑事(小池栄子)と心理学者(北香那)が、さまざまな事情を抱えた犯罪被害者や遺族に寄り添い、支援をしていく警察ヒューマンドラマ。
心理学の知識には長けるが対人コミュニケーションは苦手という心理学者のキャラクター設定も芝居もベタではあるが、回を重ねるに連れて、心に傷を抱える元刑事とのバディが、支援対象だけでなく、お互いに心を通わせていくさまが心地よくなっていった。
事件を追う刑事ドラマなのだが、主人公が刑事ではない異色のドラマでもあった。小池栄子と北香那の共演をまた見たくなるような物語だった。
そのほか、本格サスペンスドラマかと思いきや、おしゃれで気の利いたセリフの会話劇がメインだった令和のトレンディ不倫ドラマ『Tシャツが乾くまで』(TBS系)もネットニュースで話題になっていた。
『VIVANT』の勢いに押されてか、あまり話題にのぼらないが、NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』が毎話面白い。
豊臣秀長(仲野太賀)を主人公に、兄・豊臣秀吉(池松壮亮)とともに百姓から武将へ登りつめ、天下統一を果たすまでの軌跡を描く。大河ドラマ王道の戦国武将の物語だが、いよいよ佳境に入ってきている。
池松演じる秀吉像には新規性があり、秀長や家臣たちとともに戦乱の世を生き抜くなか、さまざまな調略や謀略が渦巻く戦国時代の人間ドラマの部分を色濃く描くストーリーに引きつけられる。
秀吉が関白に就いたこれから、物語は天下統一に向けて大きく動き出す。秋クールは世間の話題を取り戻すかもしれない。
期待作が目白押しの秋ドラマ
夏ドラマは『VIVANT』を除き、全体的に話題作が少なかった印象だが、秋ドラマは一転して豊作になりそうだ。
いくつか挙げると、野木亜紀子脚本で石原さとみが主演する『ポリティカルパン』(フジテレビ系)、ヒットメーカーコンビの塚原あゆ子監督と新井順子プロデューサーによる『LOST10』(TBS系)、大泉洋主演のスポーツドラマ『俺たちの箱根駅伝』(日本テレビ系)、世界的大ヒット韓国ドラマのリメイク『南田南弁護士は天才肌』(カンテレ・フジテレビ系)、13年ぶりのシリーズ新作『救命病棟24時』(フジテレビ系)など期待作が目白押し。
配信ドラマでは、宮藤官九郎脚本で役所広司が主演を務め、濱田雅功、賀来賢人、松山ケンイチ、河合優実らが共演するNetflix『俺のこと、なんか言ってた?』(10月22日配信)がすでにSNSやネットニュースで話題を集めている。
秋はドラマシーン全体が盛り上がっていきそうだ。


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