ところが本作は、コミカルパートが圧倒的に多い。かつての湾岸署の面々のボケと、新キャラクターのツッコミのようなポジションのかけあいのほか、ある3人が揃うシーンはコントそのもの。ドタバタコメディ要素が強い楽しめる作品なのだが、その評価は割れている。
従来の刑事ドラマと異なる“踊るシリーズ”らしさは健在
本シリーズがここまでの人気を得たのは、従来の刑事ドラマとは異なるおもしろさがあったからだ。
主人公の青島は、刑事ドラマに憧れて転職した元営業マンであり、まるで会社員のような刑事らしくない一面を持つ。そんな彼が、組織のなかで苦闘し、疲弊して悲哀をにじませる姿が特徴的だった。
そこでは、青島を中心にした個性豊かな湾岸署の面々が難事件を解決していくが、その過程では、本店(警視庁)と所轄署の軋轢や、警察組織のキャリアとノンキャリアの壁が常につきまとう。一般社会の組織で働く誰もが経験したことがあるだろう理不尽や鬱屈をデフォルメしながら描き、世間の共感を得た。
本作でもそれらの要素は健在だ。
歳を重ねて、かつての尖った部分は丸くなっている印象の青島だが、持ち前の調子良さと人当たりの良さ、子どものような猪突猛進ぶりのほか、組織の都合や官僚主義を嫌う部分も、変わっていない。立場は変わっても、正しいと信じることのためには、上司の命令無視も厭わない。
そんな青島をキャリア官僚は煙たがり、若い世代の刑事たちは“おじさん”呼ばわりしていじる。しかし、どこか達観した冷めた視線を持つ今どきの若手たちは、青島と行動をともにするなか、少しずつ影響を受けて、気づきを得る。そして、いつのまにか仕事にやりがいや喜びを感じている。青島は行動を通して若手を導いていた。
ただ、かつての湾岸署時代の青島と比較すると、どこか地に足が着いていなくて、彼の正義や刑事としての芯がぼんやりしているようにも感じられた。「幸せ」がキーワードのひとつになっているが、その言葉のように、彼の立ち位置がふわっとしている印象もある。


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