バルーはこのようなPEが20世紀初頭の「マネー・トラスト」に酷似していると位置づける。
J. P. モルガン等が鉄道、銀行、鉄鋼、海運、保険会社等を幅広く牛耳ったマネー・トラストもまた、各業界への知識も関心も持たずに他人の資金を抜き取るだけの、巨大な金ぴかのまがい物だった。
アメリカはこれに対処すべく、1890年にシャーマン法、次いでこれを補完するクレイトン法と連邦取引委員会法を1914年に制定し、反トラスト法(独占禁止法)を確立した。
シャーマン法は不当な取引制限や独占化を禁止し、クレイトン法、特にその第7条は独自の合併規制を定めている。
そしてクレイトン法の制定には、アメリカの法律家ルイス・ブランダイス(1856-1941)がマネー・トラスト批判の雑誌論考をまとめた1914年の著書(Other People’s Money and How the Bankers Use It)が寄与したという。
このブランダイスの思想こそが、バルーの強い信念と行動力の指針である。とはいえ、マネー・トラストからPEへと引き継がれて現代に至る流れは、残念ながら、輝かしき反トラスト法が攻撃され骨抜きにされ、後退し続けた歴史である。
奪われた公的領域
ここで一つ、PEの特徴を確認しておく必要がある。それは、PEが裁判所や連邦議会、行政府、州、地方自治体等、政府機関の支援を受けて成長してきたということである。
支援者にはアメリカの現政権のみならず、民主党政権の公職経験者らの名も見える。だが、より重要なのは構造的な問題である。
第9章でさらりと指摘されるように、確かにPEの進展は1970年代以降の政府のインフラ投資の民営化という「より大きな流れの一部に過ぎない」(287頁)。しかしそれは何ら自然な流れではなく、しかも社会に深刻な結果を及ぼしたのである。


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