2016年に白人ブルーカラー層を中心とした「忘れられた人々」がトランプ政権誕生の原動力になってから10年。アメリカに新たな「忘れられた人々」が生まれつつある。当時との共通点は、「自らの関わらないところで、自分の将来を決めないでほしい」という国民の思いだ。
引き金となったのが、AI(人工知能)の急速な発展だ。16年の「忘れられた人々」は、「自らの将来は、自らの力で決めることができる」という感覚を脅かされた人たちだった。中国からの輸入急増による雇用不安が、自らの努力とは関係なく、中間層からの没落を余儀なくされる懸念につながった。助けてくれるはずの政府に対しても、グローバリゼーションを優先し、国民の声を軽視しているという不信が強かった。
AIの発展は、当時と類似した感覚を呼び覚ましつつある。アメリカでは、雇用や社会のあり方を激変させるAIの急速な発展が、一握りの大企業に牽引されて進んでいる。全米に広がるデータセンターの建設でも、開発企業と自治体が秘密保持契約を結び、情報の開示を最低限にとどめる場合が多く、近隣の住民が蚊帳の外に置かれる傾向が指摘されてきた。
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