効率化の裏で失われる「世界との摩擦」
窪田:テクノロジーを使わないという選択は、現実的ではありません。便利さを享受する一方で、私たちは何を失いつつあるのでしょうか。
大川内:私も、デジタル技術が悪いとは思っていません。便利ですし、私自身も頼っています。ただ、いい面ばかりではない。その一つが、世界との摩擦が減っていることです。
窪田:大川内さんが言う「世界との摩擦」とは、たとえばどんな場面で感じるのでしょうか。
大川内:かつては、待ち合わせをする時に、相手が来なければ待ちぼうけになり、外を探し回ることもありましたよね。でも今はスマートフォンで一言連絡をすれば済みます。地図アプリがあれば迷わず目的地に着けるし、リモート会議なら移動しなくてもよい時代になりました。
窪田:たしかに、不便さは減りましたよね。
大川内:はい。便利になった一方で、迷う中で「ここに道があった」「ここは坂だった」「面白そうな店がある」と発見すること、身体を使って環境を探索することは減りました。効率を手に入れた代わりに、偶然の出会いや、摩擦の中から学ぶ機会を失っているのではないかと思います。



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