「考える私」を優位にしてきた近代
窪田:大川内さんは、テクノロジー社会の中で「身体を取り戻す」ことの重要性を発信されています。私たちは、具体的にどのような身体性を失いつつあるのでしょうか。
大川内:ここでいう身体性とは、スポーツのように単に身体を動かすことではありません。「疲れた」、「心地よい」、「違和感がある」、「お腹が空いた」、といった身体からの感覚を、自分の判断材料として受け取ることも含まれます。私たちは、物事を二項対立のかたちで捉えることがあります。自然と文化、生の食べ物と加熱した食べ物、そして心と身体、といった具合です。
近世以降、とりわけデカルトに代表される心身二元論は、私たちのものの考え方に大きな影響を与えてきました。
窪田:近世以降の心身二元論とは、具体的にはどのような考え方なのでしょうか。
大川内:心と身体を異なるものとして捉え、とりわけ人間の本質を「考える」精神の側に求める考え方です。身体を物質的なものとして捉え、精神とは切り分けて考える。その見方は、近代科学や医学の発展にも一定の役割を果たしました。



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