エリート層は、自らの価値観に合致しない伝統的な家族観や地域規範、宗教的信念を保とうとする労働者階級に対し、「差別者」「偏狭」「安全を脅かす存在」というレッテルを貼る。
キャンパスや職場での「マイクロアグレッション(微細な攻撃)」の監視や「安全な空間(セーフスペース)」の要求は、弱者を守るためのものではなく、自らの排他的なルールに従わない者を追放し、統制するための「力への意志」のあらわれなのだ。
「意識高い系資本主義」と巨大企業が進歩的暴力で地域を潰す
この新パワーエリートの暴走は、現在「意識高い系資本主義(Woke Capitalism)」という形で、経済の実体をも激しく変容させている。
古典的リベラリズムの「フリーマーケット市場主義」と、進歩的リベラリズムの「社会的リバタリアニズム(伝統解体)」が結託した。ジョン・ロック(経済的自由)とジョン・スチュアート・ミル(文化的解体)の悪魔的な融合である。
GAFAをはじめとするグローバル巨大企業は、自らのビジネスに対する規制を逃れ、莫大な利益を上げる一方で、リベラルな社会運動(LGBTQの権利擁護、気候変動対策など)への全面的な賛同を表明する。
彼らは、伝統的な家族規範や地域社会の連帯を「流動的な労働力と消費者の創出を阻む障壁」とみなし、それらを解体することで市場をさらに拡大しようとしているのだ。
インディアナ州で起きた「メモリーズ・ピッツァ」という小さな家族経営のピザ店をめぐる事件は、この不条理を象徴している。
あるメディアのインタビューで、信仰上の理由から「同性婚の挙式へのケータリングは辞退したい」と答えただけの小さな個人店に対し、全国規模の進歩派エリートや巨大IT企業の支持者、ソーシャルメディアの集団が激しいバッシングを浴びせ、店舗を休業へ追い込んだ。
大企業と政治的エリートは、「進歩的価値観」を盾にして、ローカルな地域社会や中小企業、伝統的な生活様式を容赦なく踏みつぶしている。
パンデミックの最中、エッセンシャルワーカーとして現場で働く人々がリスクに晒される一方で、画面とWi-Fiの前にいる「ラップトップ階級(新エリート)」は、自宅から一歩も出ずに小規模店舗の休業や市場の閉鎖を推進し、自らの安全と特権を享受し続けた。
こうした現代エリートの自己欺瞞と独善的な支配を打ち破らない限り、社会の健全な連帯と庶民の平穏な日常を取り戻すことは不可能なのである。
[訳:角敦子]


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