これは労働者側の認識も同様で、労使コミュニケーションが「良い」と回答した労働者は55.8%と、「悪い」(8.9%)を大きく上回っています。対立よりも協調。これが、現代の労使関係の基本的な姿と言えるでしょう。
現代ならではの課題は、まだまだ山積しているはず
こうした状況は、労働組合の活動内容にも変化をもたらしています。
春季生活闘争(春闘)においても、かつてのように多岐にわたる要求項目を掲げる組合は減ってきました。
育児・介護休業制度は法制化され、各種手当も充実し、サービス残業も厳しく監視されるようになった今、「賃上げ以外に、いったい何を会社に要求すればいいのか?」と、頭を抱える組合も増えています。
会社側からも、「原資のかかるベースアップをのんでやるのだから、他の細かい要求はしてくるなよ」という無言の圧力がかかり、結果として交渉のテーマが賃金に集中しがちになる、という側面もあります。
もちろん、この「ほどほどの安定」が、すべての働く人にとって満足のいくものであるとは限りません。非正規雇用の問題や、巧妙化するハラスメント、将来への漠然とした不安など、現代ならではの課題は山積しています。
しかし、かつてのように「団結して戦わなければ、自分たちの生活や権利が守れない」という切迫感が薄れていることは事実です。労働組合が"空気のような存在"と表現されることがあるのも、ある意味では、日本の労働環境がそれなりに成熟し、安定したことの裏返しなのかもしれません。
問題は、その"空気"が本当に必要なときに、人々がその存在を思い出し、活用することができるのか、という点にあります。



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