そして重要なのは、モモが特別な才能の持ち主ではないという点です。彼女がしているのは、相手を急かさず、評価せず、奪わず、ただ耳を傾けること。それは、まさに共感モードで私たちが心がけるべき姿勢そのものです。
感情を矮小化する聞き方に注意
共感モードで注意したいのが、相手の感情を軽く扱ってしまう聞き方です。
「そんなことで悩まなくてもいいよ」「気にしすぎだよ」「みんな同じような経験しているから」。どれも一見、励ましの言葉に見えます。相手を楽にしてあげたいという善意から出た言葉なのでしょう。
しかし、これらの言葉が無意識に伝えているメッセージは、「あなたのその感情は変えたほうがいい」という評価です。
これは、言い換えれば「感情の押し付け」です。自分の物差しで相手の感情を測り、その善し悪しを決めてしまう。
けれど、自分の感情を勝手に評価されてうれしい人はいません。本人にとって重要なのは、その気持ちを「ありのまま受け止めてもらえるかどうか」なのです。
たとえば、部下が「今回のプレゼンでかなり落ち込んでいます。悔しすぎて……」と打ち明けたとします。
そこで「そんなに気にしなくていいよ。次があるから」と返したらどうでしょう。前向きではありますが、部下の心には「自分の悔しさは理解されていない」という感覚が残るかもしれません。言葉が足りないのではなく、感情が置き去りにされているのです。
共感モードで必要なのは、感情をジャッジすることではありません。感情の「存在」を認めることです。「悔しかったよね」「準備してきた分、ショックも大きいよね」と言葉にして返す。それだけで、相手の心は軽くなります。
共感とは、相手の感情を修正することではありません。相手の感情が、そのままそこにあっていいと許可することです。励ましやアドバイスは、そのあとでも遅くありません。
まずは、感情に居場所をつくる。それが、聞き手の役割なのです。



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