医学的な診断名がつく手前の、しかし明らかに正常ではない状態があります。
「会社に行きたくない」と本気で感じる。日曜の夜になると気分が沈む。朝、布団から出るのに時間がかかる。趣味が楽しくない。食欲が変わる。
こうした状態は、病名がつかないぶん、本人が放置してしまいがちです。そして真面目な人ほど、「まだいけます」と言って、限界まで走り続けます。
岩田さんの場合、崩れていたのは6つの感覚のうち、どれだったのか。
私が自己肯定感を「1本の木」でとらえていることは、これまでの記事でも書いてきました。土壌が安心感、根が自尊感情、幹が自己受容感、枝が自己効力感、葉が自己信頼感、花が自己決定感、実が自己有用感です。
岩田さんの場合、真っ先に折れていたのは──幹、つまり「自己受容感」でした。
「ねば」「べき」は、こころのブレーキ
自己受容感とは、ありのままの自分を認める感覚です。良い自分も、ダメな自分も、両方まるごとOKとする力。木でいえば、嵐を受けてもしなって折れない幹にあたります。
岩田さんの口から出てくる言葉は、こういうものでした。
「課長なんだから、自分でやらねば」 「部下に弱音を吐くべきではない」 「これくらいできて当たり前」
「ねば」「べき」は、こころのブレーキです。
私はこれまで1万5000人以上のカウンセリングを行ってきましたが、自己肯定感が下がっている人には、共通する口ぐせの傾向がはっきりあります。
危険信号となる4つの口ぐせ
1. 否定語が増える──「できない」「もうダメだ」「絶対ムリ」
2. 逆接の接続詞が増える──「でも」「だって」「そうは言っても」。この後には、ほぼ必ず「できない理由」が続きます
3. 気弱な話し方になる──声が小さくなる、語尾が不明瞭になる、ため息まじりになる
4. 攻撃的な言いまわしが増える──「論理的におかしい」「ありえない」。これは自己防衛が過剰になっているサインで、私自身が引きこもっていた時期がまさにこの状態でした
岩田さんは、1と2が突出していました。
「でも、部下には頼めませんから」 「そうは言っても、誰かがやらないと」
こう言い続ける人は、自分で自分に通行止めの看板を立てています。そして周囲には「まだ大丈夫そうだ」と見えてしまう。だから誰も助けに来ません。


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