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アイドルからの転身——中村ゆりさん、美しさをたたえて"日常"を演じきった20年の軌跡

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中村ゆり
(画像:中村ゆりさんの公式インスタグラムより)
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年齢を重ねるほど彼女の演技には磨きがかかっていった。20代の頃には繊細さや透明感が魅力だったが、30代、40代になるにつれて、そこに人生の疲労や諦念、包容力、したたかさといった複雑な感情が加わっていった。

24年には映画『市子』で高崎映画祭最優秀助演俳優賞を受賞し、25年には『鬼平犯科帳 血闘』でポルト国際映画祭ディレクターズウィークのベスト女優賞を受賞した。これらは中村さんが40代に入り、俳優として一段深い場所へと進んでいたことの証明でもあった。

人生の機微を奥深く表現

日本の映画やドラマでは、若い俳優が主演を務めることが多いものだが、それとは別に40代、50代になって初めて演じられる役というものがある。夫婦関係の複雑さや、親としての葛藤、仕事と家庭の間で揺れる人物、長い人生の中で何かを失った人間。そのような役を演じるには、若さとは違う種類の説得力が必要になる。彼女はまさにそういう役柄にふさわしい名優だった。44歳という年齢を考えると、この先どのような母親を演じ、どのような妻を演じ、あるいはどのような孤独な女性を演じたのかを想像せずにはいられない。

(画像:中村ゆりさんの公式インスタグラムより)

歌手として芸能界に入り、俳優へと転身し、20年以上をかけて少しずつ自分にしかできない芝居を作り上げていった。アイドル時代の明るさやスター性だけに頼らず、普通の人間の生活や感情を画面に持ち込むことのできる俳優へと成熟していった。次のステージに進む中村ゆりという俳優の姿がもう見られないのは残念でならない。

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