生命科学×情報科学
新たな価値を生むグローバルリーダーの誕生
東京工業大学 情報生命博士教育院

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「ブレイン・マシン・インターフェース」を研究するトバール さんは、リハビリテーション分野での活躍を目指している

母国語がスペイン語のトバールさんにとって、ACLSの異文化コミュニケーション教育は大いに役立ったという。「英語でのプレゼンテーションやディベートを学ぶことで、堂々と議論できるレベルになりました」と流暢な英語で語るトバールさん。「毎年学生が主体となって企画から運営までを行う国際夏の学校や、韓国企業へのインターンシップを経験したことで視野が広がり、国や専門分野の異なる人との協働を円滑に進める力が磨かれました。リーダーシップやコミュニケーション能力を向上するための国際的な活動が多くあるのも、ACLSの魅力です」と続ける。

トバールさんは博士号の取得後も日本で暮らし、リハビリテーションにかかわる企業などで研究を続けたいと目を輝かせる。「イノベーションを創出するためには、既存分野や組織の壁を取り払うことが求められます。異なるバックグラウンドの人たちと協働して未踏分野に挑戦するACLSでの経験を、将来必ず生かしたいと思います」(トバールさん)。

アントレプレナーシップ教育が
ベンチャー起業のきっかけに

ACLSのキャリアパス教育は多岐にわたるが、中には在学中に起業してリーダーとしての一歩を歩み始めた学生もいる。生命理工学研究科の水口佳紀さんだ。

大学院生命理工学研究科
生命情報専攻
博士後期課程1年
水口 佳紀 さん

高等専門学校時代にウイルス感染治療薬の開発に携わったことがきっかけで、生命科学研究で世の中の役に立ちたいと考えるようになった水口さん。事業を興すことで、より広く研究成果を社会に還元できるのではないかと考え、起業を志すようになったという。「事業を興すためには研究領域も人脈もさらに広げる必要がありました。ACLSなら専門の生命科学に加え、情報科学についても学ぶことができます。それに、自分と同じ志を持った異分野の仲間に出会えるのではないか。そう期待して参加を決めました」(水口さん)。

水口さんは、文部科学省の「エッジ・イノベーション・チャレンジ・コンペティション2015」と民間の「バイオサイエンスグランプリ」での二度の優勝を経て、起業した

 

水口さんが仲間と共に起業した(株)メタジェンは、生命科学と情報科学との融合によって誕生したバイオベンチャーだ。世界最先端の技術を用いて人間の便を解析し、腸内細菌の活動状態から健康状態を把握するのだという。病気を未然に防ぐ画期的なサービスにつながる日も遠くはない。水口さんらの事業アイデアは、ACLSの産業界インターンシップがきっかけだった。「民間企業が主催するバイオサイエンスグランプリで最優秀賞を受賞したことが弾みとなり、ビジョンを共にする方々と出会い起業にこぎ着けることができました」と力強い眼差しで語る。「目指すのは病気ゼロ社会の実現です。もう一つの臓器と呼ばれる腸内細菌を起点に適切な食習慣をデザインし、人々のセルフメディケーションをサポートしたい」(水口さん)。

多忙な毎日を過ごす水口さんだが、それだけ充実感も大きいと笑顔を見せる。「私のアントレプレナーシップはACLSへの参加を通じて磨かれました。充実したプログラムと、互いに切磋琢磨し合える仲間の存在が、ACLS最大の魅力です」(水口さん)。

未踏分野へのチャレンジ精神と、社会的課題を解決する強い意志を身に付けた学生たちが、卒業後どのようなリーダーとして巣立っていくのか。彼らの産業界での活躍が楽しみだ。