清川先生が繰り返したのは、ネズミを見つけたらすぐに駆除へ進むのではなく、「本当に駆除しなければならない場所なのか」を考えることだ。
「今、ネズミがいると、反射的に駆除を考えてしまいがちです。でも彼らは単にそこに生まれて生きているだけです。まずは立ち止まって、本当に駆除しなければならないのか考える。もし、そこにネズミがいても問題があまりないのであれば、ネズミ以外のことにお金をかけたほうがよいでしょう。駆除の前に一段階、考えられるようになってほしいなと思います」
ネズミについて“オープンに話し合える”ような世の中が理想
清川先生は、東大生産技術研究所のDLXデザインラボと、ドブネズミをテーマにしたプロジェクト「都市とネズミ(Rats in the City)」にも取り組んでいる。25年には、千葉県の「科学と芸術の丘」や韓国の「光州デザインビエンナーレ」などで展示を行った。
展示では、1年にわたる観察から見えてきたネズミの日常を紹介。「怖い」「汚い」というイメージだけでは見えてこない、生態や行動にも目を向けた内容だ。
「ネズミに対してもっとオープンに話し合えるような世の中になったらいいんでしょうね。本当に危険なのか、どんな対策が必要なのか。そういう話ができるようになったらいいなと思います」
身近にいながら、意外と知られていない野生のネズミ。次に街で見かけたときは、これまでとは少し違って見えるかもしれない。
【参考・引用文献】
※1:Koizumi, R., Kiyokawa, Y., Mikami, K., Ishii, A., Tanaka, K.D., Tanikawa, T., and Takeuchi, Y. (2018)
Structural differences in the brain between wild and laboratory rats (Rattus norvegicus): Potential contribution to wariness.
Journal of Veterinary Medical Science, 80, 1054-1060.
※2:Kiyokawa, Y., Tanaka, K.D., Ishii, A., Mikami, K., Katayama, M., Koizumi, R., Minami, S., Tanikawa, T., and Takeuchi, Y. (2017)
Two strains of roof rats as effective models for assessing new-object reaction.
Journal of Veterinary Medical Science, 79, 702-708


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