『ウルトラQ』は、現在まで連綿と続くウルトラシリーズの最初の作品であり、桜井さんが初の特撮ヒロイン役を演じた記念碑的な作品でもある。それをヒロイン自ら回想したこの日、深層を語る言葉をひと言も聞き漏らすまいとするファンの心地よい緊張感が会場中を覆う。
そんな空気を感じているはずの桜井さんは、それを楽しみながら話していた様子。ファンの期待に応えようと力むことも、いい話をしようと構えることもなく、自然に当時の感情を掘り起こし、それを丁寧に、真摯に伝えようとする姿が印象的だった。
そこには、彼女の素の人柄がにじんでいた。スター女優としてでも、ウルトラシリーズのコーディネーターという裏方としてでもなく、それらすべてを併せ持つひとりの人としての輝きが、会場中を照らしていた。
時代を超えて昭和世代の男性を惹きつける3つの理由
そんな昭和のスターを追いかけるファンは多い。桜井さんが登壇するウルトラマン関連のイベントや、著書の出版記念トークやサイン会には、常に大勢の往年のファンがつめかける。彼女の何が昭和世代の男性をそこまで惹きつけるのか。
桜井さんと共著『「ウルトラQ」「ウルトラマン」全67作撮影秘話 ヒロインの記憶』がある作家の青山通さんは、いまなお衰えない人気の理由を3つ挙げた。
「まずは彼女の人柄です。著書の企画やコーディネーターの仕事でも発揮しているリーダーシップと、姉御肌で竹を割ったような性格が、一定の距離を保ちつつオープンな印象を与え、多くの人に好かれる要素になっています。
もうひとつは、女優でありながら、円谷プロのコーディネーターも務めることで、二刀流を体現していること。ウルトラシリーズの歴史を象徴する初代ヒロインという存在である一方、それを作り出した会社の裏方としてシリーズを支えています。
大女優ですが、その道だけだったら、いまここまでの人気にはなっていないかもしれない。ファンと作品のために独自の立ち位置を確立していて、芸能界でもなかなかいないタイプです。本人にはすべてを背負っていく気概があり、それが伝わってファンの心を掴んでいます。
最後は、SNSなどメディアを使って自ら積極的に発信していること。それもけっこうな勢いです。新しいメディアを使いこなしてコミュニケーションを取るから、そこからいろいろなつながりが生まれます。同時に、リアルのイベントにも積極的です。
それらすべてがリンクして、その人気は衰えぬどころか、世代を超えて広がっているのではないでしょうか」(青山さん)


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