彼女たちは活動終了後も定期的に顔を合わせ、アイデアを出し合っていた。そこであるとき話題に上がったのが、欧州ですでに実用化されていた「ウォークアシスト」機能だ。「ぜひ、日本国内でも転用したい」と考えたが、当時の道路交通法では違反にあたる恐れがあり、泣く泣く商品化を見送ることに。けれど、将来的な実用化を見据え、水面下では検証を続けていた。
転機が訪れたのは、2019年のこと。法改正をきっかけに、押し歩き機能が時速6kmまで合法化された。それから「ギュット」シリーズへ搭載するまでには、5年を要した。これほど時間がかかった理由は、「子どもを2人乗せた状態で安全性を担保できるかどうか」検証が必要だったからだ。
その重要な役目を担ったのは、ほかならぬ子育て中の社員たちだった。普段から子乗せ自転車を利用する当事者として、社内のテストコースで安全性能を確かめていったのである。「ギュット」シリーズの誕生以降、「リアルユーザーが社内にいる」強みが、同社では存分に生かされているようだ。
競合にはない「国内一貫生産」という武器
さて、「新しい子乗せ自転車を作る」というプロジェクトから、わずか1年で誕生した「ギュット」シリーズ。スピード感のある開発・進化を支えてきたのは、同社ならではの国内一貫生産体制だ。工場ではフレームの製造から塗装、組み立て、モーターなど駆動ユニットの生産、梱包出荷までを一貫して行っている。この全工程を国内でまかなえる工場は、競合他社では例がない。ユーザーの声をもとに、改良品を出すまでのリードタイムが短いのも、この体制であるがゆえだ。
「私を含め、プロジェクトチームのメンバーはアイデアを出しただけで、実際に手を動かしてくれたのは設計や調達、製造部門の方々です。長期間にわたって非常にご苦労をかけてしまったと思いますが、少しずつアイデアを追加する形で、製品をブラッシュアップしてくださいました」(同社 人事総務部 総務課 土岩恵さん)


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