注目すべきは、発売から8年以上経った今も、この機能については他社が追随してこないことである。技術的には競合各社も作れるだろう。だが、同社は関連する技術の特許を取得しており、ライセンス料とコストの兼ね合いから、結果的に参入を阻んでいる。こうして、「ラクイック」は「ギュット」シリーズの指名買いを生む、大きな要素となった。
大手メーカー・コンビと組んだチャイルドシートが大ヒット
2018年には、ベビー用品大手のコンビと、チャイルドシートを共同開発した。その頃、競合他社が前後輪20インチのモデルに追随し、製品の差別化がしにくくなったことで、「次の一手に」とチャイルドシートの改良を進めたのである。
コンビといえば、ベビーカーやチャイルドシートの定番ブランドとして、子育て世代から圧倒的な信頼を勝ち得ているメーカーだ。そこで、“卵すら傷つけない”衝撃吸収素材「エッグショック」の技術を応用し、子どもを包み込むようなシートの形状を考案。ほかに、生えかけの歯が当たっても安全な柔らかいグリップや、日差しから頭部を守るサンシェードを搭載した。
けれど、飛躍的な進化を遂げるなかで、開発の裏側では綱渡り状態が続いていたらしい。
「チャイルドシートの一部に新素材を使ったところ、立ち上げ当初は成形段階での課題が多かったんです。発売予定日に間に合わせるため、ギリギリまで生産対応に追われていました」(三好さん)
さらに、安全性の高いチャイルドシートを開発した一方で、従来品よりも価格がグンと上がり、社内には不安視する声も上がっていたという。
「部内でも、『こんなに高い商品が売れるの?』と一部の社員はとまどっていましたね」(同社 商品企画部 国内商品企画課 松尾秋さん)
だが、その心配は杞憂に終わった。市場の反応は劇的で、発売から1カ月で販売台数1万台を突破。通常の2倍ものペースで売れたのである。


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