Xではなぜ、「気持ち悪い」という強い言葉が選ばれて拡散されたのか。
3つの要因が重なっていると考えられる。
社会学の理論では、人は誰しも他者に見せる「表舞台」と、見せない「裏舞台」を使い分けながら振る舞っていると考えられている(※3)。
ファンは長年、氷上や会見での2人の身体的な距離の近さやじゃれ合いを"表舞台"(競技パートナーとしての信頼関係)として見てきた。しかし婚約という事実は、その一部が実は"裏舞台"(恋愛関係)だったことを明かす。
見せてよいと思われていたものが、実は見せるつもりのなかったものの断片だった――この構造が、単なる失望を超えた、居心地の悪さに似た反応を生んでいる可能性がある。
これまで2人は、交際について聞かれるたびに「ご想像にお任せします」と答えてきた。この対応は、多くの人にとって"謙虚さ"や"誠実さ"として好意的に受け止められてきた。ところが婚約発表を経て、一部の層はこれを"意図的に隠されていた"と読み替えている。
同じ行動でも、相手への配慮と解釈されれば好感を、自分本位な隠しごとと解釈されれば反感を招くことは、関連する心理学の知見からも示唆される(※4)。解釈が反転した瞬間、評価もまるごと反転する。
Xだからこその「過激な言葉づかい」
ヤフコメは長文で理由づけを伴う投稿が多いのに対し、Xは短文・拡散前提の場だ。道徳的・感情的な言葉を含む投稿ほどXで拡散されやすいことは、大規模な実証研究でも確認されている(※5)。同じ違和感でも、「モヤモヤする」ではなく「気持ち悪い」という、より強く短い言葉が選択的に生き残り、可視化されていく。


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