激高した人物同士が住宅街で言い争う場面。西島たちはリハーサルで、声を張って演じていたが、中島監督から「実際にその場所にいることを、きちんと感じてください」と言われた。
「実際に静かな住宅街で人と言い争うとしたら、周囲の状況も気になりますよね。『言い合いの場面だから大声を出す』のではなく、自分が本当にそこにいたら、何を感じ、どう振る舞うのかを考える。
その結果として大きな声を出すことを選択するのは構わないけれど、最初から “映画だからといってそういう芝居”をしないように、ということだと思います。
自分がその場にいる感覚をつくったうえで、リアルではないことを極力排除することを求められていました」
キャラクターの違いが、食卓での振る舞いにも表れる
その姿勢は、食事の場面にも貫かれている。
「食べることは、生きることを表すうえでも重要な要素だったのだと思います。通常は、せりふを言いやすくするために食べる量を調整することもありますが、今回は、そうした芝居上の都合をできるだけなくそうとしていました。
実際の人間は、しっかり食べながら、しっかり話しています。リハーサルから食事を用意して、実際に食べながらせりふを話すにはどうしたらいいか、確認や練習を繰り返しました」
稽古を重ねるうち、満島ひかり演じる探偵助手の聡子はよく食べる一方、佐竹はほとんど食べない人物として形づくられていった。キャラクターの違いが、食卓での振る舞いにも表れている。
家族と向き合う場面では、「触れること」が大切にされた。


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