深刻な人手不足や生涯現役時代の到来を背景に、シニア世代の活躍推進が日本企業の喫緊の課題となっている。単に定年を延長し、再雇用で働いてもらうのではなく、先進的な企業はシニア社員のモチベーションを高め、社内外で多様な活躍ができるような制度整備を推進している。
高年齢者雇用安定法の改正の経過措置が終了し、2025年4月より希望者全員の65歳までの雇用確保が完全義務化されたことも、こうした動きを法的に後押ししている。
今回はシニア活躍を推進している企業に着目し、『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2026年版掲載のデータを基に、定年年齢が60歳超(定年なしを含む)で、シニア活躍に向けた関連施策を3つ以上実施している企業を施策数が多い順にランキングした「シニア活躍推進企業ランキング」上位44社を紹介する。
1位の企業はどうやってシニア活用を推進しているのか
1位はダイキン工業、堀場製作所、T&Dホールディングスの3社だ。これらの企業は、対象となる関連施策を7つ実施している。3社に共通する特徴は、定年年齢が65歳であることに加え、「役職定年廃止」や「70歳までの就業機会の提供」、さらには多様な働き方の選択肢を提供していることだ。
エアコン世界首位級のダイキン工業は、2021年4月に70歳まで再雇用制度を拡大し、2024年4月に定年年齢を60歳から65歳に延長した。注目すべきは、この定年延長に伴い、それまで存在した「一律年齢での役職定年」や「一律の賃金見直し(賃金ダウン)」を廃止したことだ。年齢という枠組みだけで処遇を下げる仕組みをなくすことで、ベテラン層のモチベーション維持・向上を図っている。また、正社員・長期雇用を前提とした雇用形態にとらわれない契約形態(契約社員、委任契約など)も備え、柔軟な働き方も可能とする。
分析機器大手の堀場製作所は、シニア層に多様な選択肢を提供している。定年年齢は65歳だが、「60歳~65歳」の間で退職時期を選べる「選択定年制度」を導入している。また、60歳で定年を選択した後に、本人の希望を含めて「フルタイム」か「短縮勤務」かを選択できる。継続雇用の上限年齢を70歳まで引き上げているほか、継続的な業務委託契約や起業支援といった社外での活躍を後押しする制度も整備している。
さらに定年後の就業機会として「国内グループ会社間での人材活用促進」も行っており、長年培った専門性を自部署にとどまらず広くグループ内で発揮できる土壌を整えている。


※ログイン後、コメント入力が可能です。