年々規模が拡大するにつれ、ジェフ・モスは、別のイベント、カンファレンスの必要性を感じ「Black Hat」を立ち上げた。
DEF CONでもハッカーの腕自慢のような成果物展示、ハッキングデモ、講演や研究発表は行われていた。しかし、内容は正直なところ公には発表できないようなグレーなものが多かった。今でこそ、ホワイトハッカーやエシカル(倫理的)ハッカーという言葉があるが、そもそもハッカー文化に善も悪もない。規模が大きくなるにつれ、企業参加者も増えてくる。また、会場や規模に応じたスポンサー探しの問題もでてくる。DEF CONの枠組みでは破綻が目に見えていた。
ジェフ・モスの戦略だったのか、盛り上がるイベントにビジネスを見いだした企業の思惑だったのかは不明だが、DEF CONよりもアカデミア、ビジネスに寄せたイベントとしてBlack Hatが誕生した。
AIサイバー攻防は「技術詳細」の重要性を押し上げる
現在、Black Hatは政府機関から民間企業まで広くスピーカー、参加者を集め、論文発表の採択率は10倍の狭き門と言われている。ここでの発表は業界では一定の権威をもち、立派なキャリアともなる。
アメリカ国防総省(DoD)やサイバーセキュリティ・インフラ安全保障庁(CISA:国土安全保障省DHS傘下の機関)の高官らの基調講演も行われている。グーグルやマイクロソフトのほか、GMやFedEx、JPモルガン、ウォルト・ディズニーといった企業は、リクルーティングのためBlack Hatにブースを出したこともある。
また2015年、クライスラーの車両に、遠隔ハッキングでステアリング制御などが奪われる脆弱性が発見されて140万台もの大規模リコールを発表せざるをえなくなったのは、そのハッキング手法や技術的詳細をBlack Hatで発表すると予告したデモがきっかけだった。


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