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「映画ちいかわ」に大人がはまる! 労働・不穏・昔話の要素が織りなす"説明不能な魅力"の真相

7分で読める
ちいかわ
(画像:『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』公式サイトより)
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「ちいかわ」も同様である。何らかの意味を読み取ろうとしても、はっきりした結論を導くことはできない。今回映画化された「人魚の島のひみつ」の話に関しても、明確なカタルシスも感動も恐怖もない、不思議な余韻を残す展開が議論を呼んでいる。

意味が明確に提示されないからこそ、解釈の余地が生まれる。それぞれの読者が、自分の経験や不安、欲望を作品に投影できる。説明されない余白があるからこそ、読者は繰り返し考え、語りたくなる。この性質は「ちいかわ」がSNS発の作品であることにも深く関係している。

かつて昔話や民話は、本に固定された作品としてではなく、人から人へ語られることで伝承された。同じ話でも、地域や語り手によって内容が変わり、聞き手の反応によって強調される部分も変化した。物語は誰か一人の所有物ではなく、語る共同体の中で更新され続けるものだった。

SNSは、この口承文化に似た役割を果たしている。「ちいかわ」は、一話ずつSNSに投稿され、それを読者が共有し、感想を述べ、意味を考え、次の展開を予想することで広がっていった。単に作者から読者へ一方向に届けられたのではない。読者同士が語り合う過程そのものが、作品の成立過程の一部になっている。

現代に生まれた昔話

どの場面が恐ろしいのか。どのキャラクターが何を考えているのか。世界の仕組みはどうなっているのか。公式に答えが示されないからこそ、読者の語りが作品の周囲に蓄積されていく。その積み重ねによって、「ちいかわ」は作者一人の作品であると同時に、大勢の人々が共有する物語になった。

「ちいかわ」は、現代に生まれた昔話である。それは何らかの教訓を伝えるような話でもなければ、わかりやすい笑いや感動や興奮をもたらすものでもない。ただ、かわいく、恐ろしく、楽しく、理不尽な出来事が、理由もわからないまま続いていく。

そのとらえどころのなさに、人は自分なりの意味を見つける。そして、その意味を誰かに語りたくなる。「ちいかわ」の人気の根源にあるのは、かわいさの奥に広がる、説明しきれない昔話的な世界なのだ。

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