九州には自動車、半導体をはじめ多くの工場が集積している。こうした製造業はどのような影響を受けているのだろうか。
トヨタ自動車は、地震による影響で、安全、物流、仕入先状況を考慮し、トヨタ自動車九州の宮田工場(福岡県宮若市)、苅田工場(福岡県京都郡苅田町)、小倉工場(福岡県北九州市)において、28日2直の稼働を停止した。現時点で人的、物的被害の報告はないという。明日の1直からは稼働再開予定で、最新の状況を踏まえながら、関係者の安全を最優先に判断していくとしている。
日産九州工場(福岡県京都郡苅田町)も人的被害はなく、通常稼働を続けている。
ホンダ熊本製作所(熊本県菊池郡大津町)では2輪と汎用エンジンなどのパワープロダクツを生産している。人的被害はなかったが、地震発生時に稼働したスプリンクラーの影響で漏水・浸水が一部で発生したため、28日の2勤、3勤を停止し、従業員を帰宅させた。29日は午前の1勤については停止を決定しており、午後の2勤については同日、判断する予定だ。
ホンダの持分法適用会社であるAstemoは、自動車や2輪用部品を生産するAstemo宇城(熊本県宇城市豊野町)が被災し、工場の稼働を停止した。人的被害については「数人のけが人が出ていると認識している」(同社)とし、けが人の人数や程度など、詳しい状況について確認中という。
ブリヂストン熊本工場(熊本県玉名市)は工場から連絡あり、物的・人的被害がないことを確認した。ただ安全確認のため、いったん生産を停止している。28日19時半時点で、いつ生産を再開できるかは未定の状況だ。
半導体装置メーカーの東京エレクトロンは、熊本県にある東京エレクトロン九州の合志事業所(熊本県合志市)、大津事業所(同大津町)について現時点で建物や設備に大きな被害は確認されていないとした。安全を最優先にするとして29日は両事業所の稼働を停止、安全点検を行う。工場稼働再開時は改めて公表する予定だ。
三菱ケミカルの熊本工場は震度6強を観測した熊本県宇土市に立地している。液晶用フィルム、水溶性フィルムの製造が中心の小規模工場だ。人的被害、設備被害はいずれも不明で、28日19時30分時点で「現在情報を収集しているところ」だという。
日本製紙八代工場では、煙突が中央付近から折れる被害が確認されている。工場の稼働は停止しており、従業員の安否確認を進めている。八代工場は新聞紙や印刷紙など情報紙を中心に紙製品を生産している。需要減少から拠点集約を進める中、八代工場も24年に一部の生産設備を停止するなどの対応が進められている中で今回の地震があった。
半導体工場への影響は?
24年に第1工場が稼働したTSMC日本法人JASMがある菊陽町では震度5強を記録した。TSMCによれば、同社が定める緊急対応基準に達したため、従業員の安全を最優先とし、緊急対応手順に従って、屋内や屋外への避難を行い、点呼を行ったという。現状被害状況は確認中だ。
複数の関係者や半導体エンジニアによれば、JASMには最新の免震装置が導入されており、大きな被害は想定しづらいという。TSMCの本拠地である台湾も地震多発国であることから、同社の地震対応は定評があり、多くの場合は翌日までに生産ラインが再稼働する。
ただ、JASMが大規模な地震に遭遇したのは今回が初めてであり、台湾同様に対応が進むかは焦点だ。現在建設が進む第2工場でも建設や装置搬入などの計画に影響が出ないか懸念だ。
またJASMと協力するソニーの半導体子会社、ソニーセミコンダクタソリューションズのほか、近隣の熊本市にはルネサスエレクトロニクスの川尻工場など半導体産業の拠点が複数ある。ソニーグループは菊陽町にある画像センサーを製造する工場などで被害状況を確認しているとし、ルネサスも熊本県内の工場で被害状況の確認を進めている。いずれも稼働から数十年経つ歴史ある工場で「JASM以外の半導体工場への影響が心配」(業界関係者)との声が出る。


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