フジテレビは声明で「関係者のプライバシー侵害や二次被害につながるおそれが高いものと考え、掲載中止を強く申し入れましたが、それにもかかわらず記事の掲載に至ったことは大変遺憾」と述べている。高リスクな情報を文春にぺらぺら喋ったのは内部の人間なのに、「遺憾」と表現するのは、もはやマッチポンプ感がある。
組織の内紛、ごたごたは、内部では周知の事実になっていることが多い。それが報道されるのは、関係者による積極的な情報提供の場合もあるが、大半は飲み会や雑談で「うちの会社終わってるよ」「混乱していて人も辞めている」といった愚痴として外部に漏れ、噂が回って記者や編集部に入るパターンだ。
記者や編集部はこれを「端緒」と呼ぶ。この時点では信頼性を担保できない情報の「断片」であり、媒体は追う価値があると判断すれば、より精度の高い情報を得るために取材を開始する。いわば「裏取り」である。組織のごたごたの場合は、責任者に近い人物を含む複数の関係者から話を聞き出してようやく全体が見えてくる。
テレビ局と文春は地続き
さまざまな組織の中でも、マスコミの不祥事やトラブルは週刊誌の耳に入る環境が整いすぎている。まず、同じ業界で「地続き」であるため、人の交流が多い。次にマスコミにはおしゃべりな人が多い。情報を商材として扱う業界だからか、自分の持っている情報と与えてほしい情報を得る「情報交換」が息を吸うように行われており、相手が魅力的な情報を持っていると判断すれば、自分の手にあるセンシティブな情報も差し出しがちだ。
さらに言えば、テレビ局の内紛や不祥事はしばしばタイトルになる著名人が絡み、読者の関心が高いので狙われやすい。
以前、あるテレビ局でハラスメントが週刊誌に報じられた。それから1年ほど経って、同局の知人が「あの後もわが社って何も変わってないよ。文春また書いてくれないかなあ」と愚痴をこぼした。それから数カ月後、本当に文春砲になった。
知人に聞くと「自分は何も話してないけど、前回の不祥事の取材でコネクションができているし、文春が報道して問題の人物を飛ばしてほしいと考える人は結構いるよ」と返ってきた。

