FDAは、ケモセントリクスの親会社である米アムジェンから提供されたグローバルでの症例調査を精査した結果、新たに安全性の懸念が発生したことも指摘している。タブネオスの投与に伴う薬物性肝障害が76例確認されたとして、3月末にはアメリカの医療機関に注意喚起の通知を出している。
問題は、76例のうち66例が日本で起きていることだ。しかも66例のうち6例は、「胆管消失症候群」という極めて珍しい疾患だ。肝臓で作られる胆汁を運ぶ「胆管」が破壊されるもので、進行すれば肝不全などを引き起こす。臨床試験段階から、投与者に肝機能障害が出ることは報告されていたが、「この胆管消失症候群が報告されたのは発売されてからのこと」(キッセイ薬品)という。
投薬治療には副作用などのリスクがつきものだが、承認の際にはそれを上回るベネフィットがあるかが焦点になる。このバランスが崩れたことで、FDAは4月末、アメリカにおける承認の取り下げを提案した。
アメリカでの動きと並行して、ヨーロッパでも1月末からEMA(欧州医薬品庁)が承認の妥当性についてレビューを開始。6月26日には、EMAの医薬品委員会(CHMP)がタブネオスの承認取り消しを欧州委員会に勧告したと発表した。
「承認審査時に提出された臨床試験のデータは、不正確で誤解を招く内容だったことが判明した。タブネオスの有効性を裏付ける根拠として、もはや信頼できない」。6月26日付のリリースには、厳しい表現が並ぶ。さらに同29日には、「ADVOCATE」試験に関する論文を21年に掲載していた医学雑誌が論文を撤回している。論文の著者の求めに応じたものだという。
発売4カ月後には患者の死亡例
海外で承認取り消しをめぐり事態が急展開する一方、まだ明確な方向性を示していないのが日本だ。
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