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鈴木彩艶も輩出…W杯日本代表7人を生んだベルギーの無名クラブ、日本企業が選手の価値と「移籍金」を引き上げたワケ

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谷口彰悟選手
ベルギー1部のシント=トロイデンVVに所属する谷口彰悟選手(写真:STVV提供)
  • 久保 佳那 ライター・ブックライター
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「日本サッカー界の課題への共感はもちろん、海外サッカークラブの運営はビジネスとしても成立するのではないかと感じました。『0円移籍』で日本の選手に価値がつかないまま欧州のリーグへ移籍するなら、日本企業が欧州でサッカークラブを経営していれば、優秀な日本人選手を安価で獲得できます。そして、選手がステップアップして、その価値を多くのスカウトが知ることになれば、移籍金で収益を得られる。そのビジネスモデルは成立すると思いました」(緒方氏)

サッカー選手として海外でプレーした経験もあるDMMの緒方悠氏(写真:DMM提供)

緒方氏はすぐ、DMMの会長である亀山敬司氏に相談した。亀山氏からは「お前がサッカーが好きなだけだろう」と一蹴されたが、欧州にサッカークラブを所有することのビジネスとしての価値、日本サッカー界にどんな変革を起こせるかという点を繰り返し伝えて説得した。

立石氏が買収先候補として挙げた国は、ベルギーかポルトガルだった。その理由は外国人選手の試合への参加制限が比較的緩和されていることだ。しかし、ポルトガルに関しては、過去に別の企業がサッカークラブの買収を試みて失敗した例があるとわかったため、ベルギーのクラブに絞ったという。

「ベルギーのあるチームと交渉をしていたのですが、交渉の途中でオーナーから『まずはマイノリティとして出資して、信頼できたら譲る』と言われました。しかし我々としては、マジョリティ(経営権)を持てないと自分たちのやりたいことが実現できません。交渉を白紙に戻して、1部リーグに絞って買収先を探し続けました」(緒方氏)

その1~2カ月後にSTVVと出会い、幾度かの交渉を経て、2017年11月にDMMは経営権を買収した。2018年1月に立石氏が正式にSTVVのCEOとなり、クラブ経営全般を担当することになった。

実はそのとき立石氏は、会長の亀山氏と一つの約束をした。「赤字を出さない」ことだ。

アジア人の経営に、現地の反応は懐疑的だった

STVVの本拠地は、ベルギー東部リンブルフ州に位置する人口約4万人の小さな地方都市であるシント=トロイデンだ。立石氏は、日本人スタッフ数名と共にベルギーに渡った。ベルギー1部リーグには16のクラブがあるが、当時、外資の資本が入ったクラブは3クラブしかなかった。

「サッカーの本場である欧州の人々にとって、クラブはとても大事な存在です。それをアジア人がやってきて買収して経営する。周囲から懐疑の目で見られていることを強く感じました。そこで、まずは経営基盤を整えて財務的に破綻しないこと。そして、安定して1部リーグにいる状態を目指そうと考えました」(立石氏)

STVVのスタジアム(写真:STVV提供)
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