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鈴木彩艶も輩出…W杯日本代表7人を生んだベルギーの無名クラブ、日本企業が選手の価値と「移籍金」を引き上げたワケ

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谷口彰悟選手
ベルギー1部のシント=トロイデンVVに所属する谷口彰悟選手(写真:STVV提供)
  • 久保 佳那 ライター・ブックライター
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これらの選手の多くは、海外進出の最初のチームとしてSTVVに所属している。つまり、STVVは「日本人サッカー選手が世界へ羽ばたく登竜門」と言えるのだ。そして、STVVの経営権を握っているのは日本企業のDMMグループだ。動画配信サービスや電子書籍、金融など国内で60以上の事業を展開しており、一般的にはエンタメ系企業として認知されている。

STVVはどのようにして、日本人サッカー選手の世界への登竜門として機能しているのだろうか。

マンU断りSTVVへ、鈴木彩艶の移籍金が10億を超えるまで

まず、STVVが所属するベルギーリーグとはどんな環境なのか。同クラブのCEOである立石敬之氏はこう語る。

「ベルギーリーグは、外国人選手の起用に関するルールが緩やかです。ベンチ入りメンバー20人のうち6名がベルギー人であること、というルールは存在しますが、極端に言えば先発11名を日本人選手にすることも可能です。また、ベルギーはEUの真ん中にあり、スカウトが見に来やすい場所に位置しています。そのため、選手の活躍がスカウトの目に留まりやすいのです」

今大会の正GKである鈴木彩艶選手の例を見てみよう。鈴木選手はJリーグの浦和レッズで活躍していた2023年夏、プレミアリーグの名門マンチェスター・ユナイテッドから完全移籍のオファーを受けていた。移籍金は当時のレートで9億円を超えていたとされる。だが鈴木はこれを自らの意思で断り、出場機会を求めてベルギー1部のSTVVへ期限付き移籍(レンタル)で加入する道を選んだ。そしてシーズン途中の2024年2月、STVVへの完全移籍が決まった(移行は同年7月)。

FIFAワールドカップ2026、日本対スウェーデン戦の鈴木彩艶選手(写真:Luciano Bisbal/Eurasia Sport Images/Getty Images)
【写真を見る】鈴木彩艶も輩出…W杯日本代表7人を生んだベルギーの無名クラブ、日本企業が選手の価値と「移籍金」を引き上げたワケ(14枚)

その選択について、立石氏はこう振り返る。

「鈴木選手に、STVVを選んでいただいた理由は出場機会が多いことです。彼がすばらしい素質をもっていることは誰もがわかっていました。しかし、成長過程にあるGKを起用し続けることは、クラブにとってリスクもあります。そのため、大きなクラブに行くほど、出場機会がなかなか得られません。STVVは、あのときの鈴木選手に必要な出場機会を用意することができました」

STVVを選んだ鈴木の判断は、結果として正しかった。加入早々からSTVVの守護神となった鈴木は公式戦32試合に出場し、高いゴール阻止率を叩きだした。2023年11月にはワールドカップ予選で、A代表(年齢制限のない日本代表メンバー)としてデビューも果たしている。

さらに、鈴木は2024年夏、イタリア・セリエAのパルマへ移籍した。一連の移籍を金額で追うと、まずSTVVが買い取りオプションを行使して完全移籍させた際の移籍金は、推定350万ユーロ(約5億5000万円)。そこから1年余りでパルマへ売却したことになる。

パルマへの移籍金の額は媒体によって幅があり、サッカー専門サイトの『footballtransfers』は「パルマが約820万ユーロ(約13億円)を支払った」と伝える一方(2026年6月29日閲覧時点)、日本では「750万ユーロ(約12億円)、250万ユーロ(約4億円)のボーナス、将来移籍した際にSTVVにその移籍金の10%が支払われる」という条件だと報じられた。いずれにせよ、STVVが浦和レッズから数百万ユーロ規模で完全移籍させた選手を、1年余りで1.5〜2倍ほどの価値で送り出した構図は変わらない。

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