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羽生結弦も惹かれた「絶望の哲学者」シオランの名言がネガティブなのに現代人に刺さる理由

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(撮影:今井康一)
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そんなヤバいモノをシャツのように取り替える!? 朝とか夜とかに汚れた服を着替えるみたいなノリで!? ……あまりにも衝撃だった。確かにこのオッサン、凄まじい絶望を濃密に語るかと思えば、次の言葉ではそれを全部忘れたように、遅刻したやつは死刑だろ死刑とか言い出したり、負の感情に節操ないなと思ったが、でも……

それでもこの呟きを読んで、もしかしたらそういうことも可能なのかもしれないと少しだけ思えたんだ。そしてその瞬間、どこかで気が楽になった。前よりは一つの負の感情にこだわることが減った。このシャツ、さすがにもう汗臭いから洗濯機にブチ込もうって感じで、軽やかにそれを脱ぎ捨て次の感情に行くことができるようになったんだ。逆にそれでも長くこだわっちゃう感情はオキニのシャツと言えるかもしれない。ちなみに紹介者のオキニは、自分にはできない! って無力感である。負の感情とはこんな軽やかな付き合い方もある。

「バズらない人」こそがこの世界の良心

(画像:『生まれるのも生きていくのもめんどくさい!超訳シオランの言葉』)

超訳
バズらない人はいい人です

逐語訳
内気で、行動力のない善は自分を広めることができない。一方で悪はそれよりはるかに熱心で、自らを広めるのに成功する。

全体としてシオランは何かを成し遂げたとか成功させたよりも、何かを成し遂げられなかったとか失敗したことこそを評価する傾向にある。挫折だったり、そもそも何かをやろうとすらしないことは、むしろ美徳を育んでくれる、くらいのことを言う。そもそもの話、生まれないことこそが最善って言うんだから、考え方は一貫している。

済東鉄腸氏(写真:飛鳥新社)

この呟きなんかでもシオランは、バンバン自分を積極的に売りこむ人たちを悪人と見なして、ぐうたらで自己宣伝するのも怠けてる人こそが善人と評している。今は何が何でも注目を得てマネタイズできれば尊敬される、アテンション・エコノミーとかいう時代らしいが、その価値観とはもう真逆である。シオランが今のSNSを眺めたなら、自分の人生をいい感じに見せたりするインフルエンサーやら、社会的事件にいっちょがみして賢く見せたがる知識人気取りやら、そういうバズ狙いが大手を振ってるってこの状況をクソミソに皮肉るだろうと想像がつく。

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