と言っても、整備には時間がかかった。
「購入していただいた後、ゴミを処分したのですが、一度2トントラック3台で数回往復してもらった時には70万円かかりました。それでも屋嘉部さんたちがかなりのモノをアップサイクルして使ってくださっているので排出量はだいぶ減らせました」(Aさん)
ゴミ出し以外では雑木林、竹林の整備も大仕事だった。
「いとこの息子が兵庫で木こりをやっているので、泊りがけで2回来てもらってかなりの木を切ってもらいましたし、庭師さんにも入ってもらいました。
幸い、私たちの場合、木を切ることも、竹林整備のための筍掘りもイベントにして多くの人に参加してもらえるので個人で孤独に抱え込んで作業するよりもずっと楽だったかもしれません。建物内のできるところは自分たちでDIYしました」(屋嘉部さん)
巨木を切り倒すイベントにはAさん母子も参加した。それ以外にも季節ごとに訪れては「ここの筍を放置すると家に影響が出る、夏はこのあたりで草が繁茂する」などと手入れすべきポイントを伝えたり、一緒に味噌作りのイベントを開催したりするなど、約10年後の今もいい関係を続けている。売り主ー買い主の関係も時代によって変わっているのだろう。
子どもも大人も楽しめる空間に
人が入りにくくなっていた雑木林は適宜伐採されて広場が作られ、大木を利用してツリーハウスも作られた。2026年5月に開催された和太鼓の演奏会では林が会場となって親子が集まった。10年ほど前には人が入ることを拒むように薄暗かった雑木林が、木漏れ日の美しい広場に生まれ変わっていたのである。
変わったのは雑木林だけではない。「鴻巣アートの森」と名付けられた施設内にはどろんこ遊びができるフィールドが作られ、収穫を楽しめる畑があり、焚き火で野外炊飯ができ、複数人での宿泊も可能。ヤギもいる。旧家のお屋敷が、都会ではできないことを体験できる場に生まれ変わったのだ。

