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ライフ #広がる新しい暮らし方 "廃居"という磁力

不動産会社も敬遠した広大な"廃墟"が「子どものアートの森」に変身——理想の買い手を見つけた空き家マッチングの力

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廃墟
2017年ごろは雑木林や竹林に覆われて“廃墟”となっていた(写真:家いちば提供)
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家のことをすべて仕切っていた祖父母が亡くなり、1年ほどして後を追うように父が亡くなってAさん母子は途方に暮れた。昭和5年に建てられた母屋、離れ、2階建ての蔵に庭、雑木林、竹林のある旧家の敷地は広大で日々雑草は成長する。

祖父母のいた時代には敷地内の手入れや修理でいろいろな人が出入りし、何か作業をしていたのは知っているが、いざ自分で頼むとなるといつ、誰に何を連絡すればいいのかまったく分からない。仕方なく地元のシルバー人材センターに頼んでみたところ、驚くほどの額の請求が来たことは前述した通り。家よりも庭や林その他の敷地内に多額の費用がかかるのである。

「これでは持ち切れない」と早々に決断。すべての不動産を手放そうと地元の不動産会社に相談に行ったものの、来るはずの連絡は来ない。「どうなっているんですか」と問い合わせても「のちほど」と言われておしまい。扱いたくないのだと察した。

「不動産業をやっている友人に1500万円くらいで売れたら良いと思っていると相談してみたところ、『そんな面倒くさいことはとてもやりきれない』と言われました。

図面と実際の建物が不一致、建物が未登記あるいは何代も前の親族の名前で登記されているなど“古い建物あるある”がたくさん出てきて、それをひとつずつ解決していくには仲介手数料では割が合わないというのです。

当時は私も営業の仕事をしていたので、話を聞いてなるほどと納得しました。それだけの作業を会社として受けたら利益が出ないどころか赤字になりかねない。だから空き家が動かないのだなと。でも、なんとかしなくてはいけない。そんなタイミングで空き家の掲示板『家いちば』の記事を新聞で見かけました」とAさん。

売りたい人と買いたい人をマッチング「家いちば」とは?

「家いちば」は空き家の所有者が売りたい物件の情報を自ら書いて掲載する掲示板。最終的な契約の時点に至るまでは売る人、買う人が主体となる「セルフセル」方式で交渉を進める。Aさんも家いちばを運営する藤木哲也さんのアドバイスを受けて情報を掲載したところ、あっという間に20件ほどの問い合わせが集まった。

「それまで家の電話が鳴ると、また、落ち葉その他のクレームかとドキッとしたものですが、家いちば経由の問い合せでは物件や立地をほめていただくことが多く、ほっとしました」(Aさん)

問い合わせの受け付けが始まったところで見学会を開くことになり、私が訪れたのはその少し前のタイミング。まだ、建物、敷地内にはまったく手が入っておらず、特に蔵には箪笥や昔の水車の車輪など大小さまざまなモノが乱雑に詰め込まれており、どこから手を付けていいかが分からない状態。雑木林も荒れ始めていた。

改修前の台所。どこから手を付けていいか呆然とするほど荒れていた(写真:芸術による教育の会提供)
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