東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #日銀 31年ぶりの1%

円売りの理由が変わった…1ドル160円はもはや通過点か?さらなる円安を阻止する〈日銀の利上げ幅〉は?欧米ともタカ派

12分で読める
米・欧・日の中央銀行とも利上げ方向だが、タカ派度合いには差がある(中央撮影:梅谷秀司、左右:ブルームバーグ)
  • 唐鎌 大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
2/5 PAGES

ECBに続き、16~17日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)はFF金利誘導目標を3.50~3.75%に据え置くことを全会一致で決定した。

メンバーの政策金利見通し(ドットチャート)は1回の利上げが予想される構図であり、イラン攻撃後の市場期待に沿った修正が見られている。昨年を通じて懸念されていた「トランプ色の強いウォーシュFRB新議長の下、ハト派的な政策運営が加速する」という展開はこれで名実ともにいったん退けられた格好である。

昨年来、パウエル前FRB議長とトランプ大統領が利下げの必要性を巡って摩擦を繰り返してきた経緯を踏まえると、この展開を予想することはかなり難しかった。

FRB「タカ派急旋回」とは言い切れないが「利下げ議論」は復活せず

後述する通り、今後ドットチャートの取り扱いが不透明になる中、これに注目する意味も薄れているが、全19名のうち、ウォーシュ議長が提出を拒否、残り18名中9名が年内の1回以上の利上げを想定している。

もっとも、これらは中央値で評価した場合であり、最頻値ではまだ現状維持を支持する勢力が8名という見方も可能であるため、ウォーシュ議長の基本姿勢が流動的であることも踏まえれば、現時点ではFRBがタカ派に急旋回したとは言い切れない。

この点は、もはやタカ派方向に全振りしている感が強いECBとは大きな違いがある。

もっとも、イラン攻撃前は「次の一手」としての利下げがほぼ既定路線であったことを思えば、やはり3カ月間で世界は変わったと言わざるを得ない。スタッフ経済見通し(SEP)では実質GDP成長率や失業率の見通しが据え置きで、26年のインフレ率見通しだけが大きく引き上げられている(2.7%→3.6%)ため、もはや近い将来に利下げ議論が復活するような環境ではない。

大いに支持できるウォーシュ新議長の情報発信改革

余談だが、今回は政策決定よりも、ウォーシュ新体制下として進められる改革への意思表明の方が注目だった。

ウォーシュ議長は一連の改革(コミュニケーション、バランスシート、データ利用、生産性と雇用、インフレ枠組み)の中で、金融政策の運営方法と情報発信のあり方を抜本的に見直す改革方針を打ち出している。その一環としてFOMC声明文は半分以下の分量に簡素化され、将来の金利動向を巡る見通し部分などが削除されている。記載されているのは事実のみの131語だった。

今回、ドットチャートについてウォーシュ議長自身は予想の提出を見送っているが、会見で「政策を遂行する上で、見通しの点(ドットプロット)を書き込むことが役に立つとは思えない」と述べ、「おそらく年末までにFRBのコミュニケーション全般を見直す。これには会見やドットプロットの書き込み、会議、議事録などを含む」との方針を提示している。

こうした動きに対し、「市場との対話」を拒んでいるという批判的な論説も見受けられるが、筆者は必ずしもそう思わない。

3/5 PAGES
4/5 PAGES
5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象